熊本地震 被災者支援制度<下>失業給付、学生に支援金、ローン減額

 熊本地震からの復興に向け、被災者に対するさまざまな支援制度が始まっている。仕事や各種トラブルなど「暮らし」に関わるサポートについてまとめる。

 ■医療、年金

 熊本県内で「住宅が半壊以上の被害を受けた」「主たる生計維持者が失職して収入がない」などの事情がある場合、医療機関の窓口負担や介護サービス事業所の利用料が免除される。窓口で申し出る。同県内の市町村の国民健康保険や介護保険、同県後期高齢者医療などの加入者が対象。7月末まで。問い合わせは加入する各保険者へ。

 健康保険証を持たずに避難した場合などは、保険証がなくても医療機関で保険診療を受けられる。被災者が保険証の種類などを申し出て受診する。

 熊本、大分両県で、年金についての相談は各年金事務所や、日本年金機構の被災者専用ダイヤル=(0120)558656=へ。住宅などの財産を失った場合は、被害に応じて国民年金保険料が免除や減額される。市町村か年金事務所に申請する。

 ■仕事

 熊本県内の勤め先が被災し、休業や、復職を前提とした離職に追い込まれた労働者は、特例で雇用保険の失業給付を受給できる。保険加入期間などに応じ、原則90~330日間、休業前の賃金日額の45~80%が給付される。労働者がハローワークに申し込む。

 同県で仕事中や通勤中に被災してけがなどをした労働者は、労災保険を受給できる。事業主や医療機関の証明がなくても請求可能。また勤め先が被災し、賃金が支払われないまま退職した場合、国が未払い分の8割を立て替える制度がある。いずれも労働者が最寄りの労働基準監督署(労基署)に申し込む。

 労働に関する相談は、熊本労働局雇用環境・均等室=096(352)38
65=や同県内の労基署へ。学生らの就職活動については熊本、大分両県のハローワークに特別窓口を設けた。

 ■各種ローン

 被災して住宅を失うと、残りのローンと、新たな住宅の借り入れとの「二重ローン」を抱える被災者も出てくる。生活再建の足かせとなるため、全国銀行協会は「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に基づき、ローンの免除や減額をする仕組みを4月に導入した。熊本地震の熊本県内被災者が初めての対象となる。

 対象となるのは、被災により住宅ローンや事業性ローンなどを返済できなくなった同県内の被災者。自己破産などの法的手続きとは異なり、資産の状況や家族構成などに応じて、最大500万円程度の資産を手元に残せる。債務整理したことが個人信用情報としていわゆる「ブラックリスト」に登録されず、新たな借り入れに影響しない利点もある。手続きは、最も多額のローンを借りた金融機関などに申し出て進める。同協会相談室=(0570)017109。

 ■学費

 熊本、大分両県で、住んでいる住宅が半壊以上などの被害を受けた学生や生徒、外国人留学生には、日本学生支援機構が「JASSO支援金(10万円)」を支給する。返還不要。所属する学校に申請する。

 学費が支払えなくなった学生向けに同機構の奨学金制度があり、被災者も利用できる。所属校に申請する。

 被災して奨学金の返還が困難になった場合は、毎月の返還額を半分に減額する制度や、返還期限を最大10年間猶予する制度がある。同機構の奨学金返還相談センター=(0570)666301=に申請する。

 ■トラブル相談

 「被災した賃貸住宅から退去する際、違約金を払う必要があるか」「被災した墓石を勝手に修理、高額な料金を請求された」など、消費生活に関する相談は、国民生活センターが九州からつながるように開設した熊本地震消費者トラブル110番=(0120)793448。

 「通帳を紛失した」など金融機関との取引に関する相談は、金融庁相談ダイヤル=(0120)156811。

 日本司法支援センター(法テラス)は被災者の法的トラブルを想定し、ウェブサイトでQ&Aを公表している。法テラス・サポートダイヤル=(0570)078374。

    ◇    ◇

 支援情報は10日現在。各団体のウェブサイトで確認できる。首相官邸のサイトは「熊本地震被災者応援ブック」として、被災地での暮らしに役立つ情報をまとめて公開している。


=2016/05/11付 西日本新聞朝刊=

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