西日本新聞電子版 1周年記念プレゼント

森へおいでよ 筑豊の自然再発見<47>地域の自然の魅力 人がつくり出す風景

畑の入り口からの風景、棚田の一番上からは畑を一望できる 撮影場所は嘉麻市熊ケ畑ひまわり畑
畑の入り口からの風景、棚田の一番上からは畑を一望できる 撮影場所は嘉麻市熊ケ畑ひまわり畑
写真を見る
ヒマワリを見に来た子供たちもむし捕りに夢中になる 撮影場所は嘉麻市熊ケ畑ひまわり畑
ヒマワリを見に来た子供たちもむし捕りに夢中になる 撮影場所は嘉麻市熊ケ畑ひまわり畑
写真を見る
人の背丈より高く成長したヒマワリ 撮影場所は嘉麻市熊ケ畑ひまわり畑
人の背丈より高く成長したヒマワリ 撮影場所は嘉麻市熊ケ畑ひまわり畑
写真を見る
満開時期には花粉を集めに来るミツバチをすぐ近くで観察できる 撮影場所は嘉麻市熊ケ畑ひまわり畑
満開時期には花粉を集めに来るミツバチをすぐ近くで観察できる 撮影場所は嘉麻市熊ケ畑ひまわり畑
写真を見る

 これまで、自然に親しむ「あそび」について述べてきた。自然を楽しむことで、身近な自然環境の変化に気付く意識を育むことが狙いであるが、地域の自然の魅力にも気付いてもらいたいという思いもある。その理由について今回は述べる。

 地域の自然の魅力とは、そこにしか生息しない生物がいること、絶滅の危機にある生物がいること、多くの種類の生物が生息していること、だけであろうか。それらは、重要な指標ではある。しかし、地域に暮らす人々がつくり出す自然の風景、そこに目を向けることも大切だと考える。なぜなら、そこに人の自然に対する思いや哲学も感じられるからである。

 嘉麻市熊ケ畑にある、棚田であった耕作放棄地に、この十数年、約20万本のヒマワリを毎年咲かせ続けている松岡直幹さんがいる。過去の航空写真と比べても棚田やその周囲の里山の地形はほぼ変わっていない。彼は、当時、荒れ放題となっていた棚田を切り開き、油をとるためにヒマワリなどを育て、その廃油からトラクター用のバイオディーゼル燃料(BDF)を作り、新しいエネルギーの循環を生み出そうと、この活動を始めた。彼は、資金も人手もないままに試行錯誤を繰り返し、独自の方法で、無農薬で花を咲かせ、油をとるための種子も実らせる方法を探りだした。

 花の開花時期には、数多くの人が訪れる。また、農薬も使わないため、多くの生物がともに生息している。彼がつくり出した風景は、生物の多様性も保持し、人々の思い出に残る、地域の美しい魅力ある景色となっているのである。

 現代の身近な自然は、もはや人と切り離しては考えられない。そもそも、稲作の田園風景は弥生時代から続いてきた人がつくり出した風景だ。その自然の中で多様な生物が共に暮らしてきた。人から切り離した自然は、実は身近には少ないのである。だが、人も自然の中で生きる生物であるのだから、それを否定的にばかり考えなくてもいいのではないだろうか。

 自然の風景の中にある、人の意思を捉えながらあらためて身近な自然を見直してみてほしい。

【筑豊の自然を楽しむ会(ちくぜんらく)・成本麻衣子(なるむし)】


=2017/08/17付 西日本新聞朝刊(筑豊版)=

→電子版1周年記念!1万円分賞品券やQUOカードが当たる!!

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]