【産業医が診る働き方改革】<1>職場の健康守るため

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 知り合いに医者がいれば何かと便利ですよね。産業医は会社が契約している身近な医師ですが、社員の病気や健康の相談だけが存在理由ではありません。その本質的な使命は働くことと健康でいることの両立です。そのために二つの手法を採ります。

 一つは、働く人々に対して、最適な医療機関を探して紹介したり、より良い健康習慣を勧めたりすることです。

 もう一つが産業医ならではの手法で、会社に対して職場環境や作業方法を改善するよう意見を述べることです。通院時間の確保、残業の削減、働く場所の快適性向上、使いやすい工具の選択、休憩設備の整備、有害性の低い原料への変更など、現場に応じた助言をします。

 健康を維持し、安心して仕事に集中できる職場では、新しいアイデアが生まれ、安全性や生産性も向上します。働く人と会社のいずれにも偏らず、独立した医師としての立場から助言や指導を行っています。

 多くの産業医は内科、精神科、整形外科などそれぞれ専門がありますが、共通するのは「職場を最もよく知る医師」であること。専門外の病気を相談されても、その人が働く姿を思い浮かべながら、医師として可能な支援を尽くします。

 私は産業医学が専門です。仕事の健康への影響を探究し、職業病の予防を目指します。専門医は日本に約500人と医師総数の0・2%未満ですから、あまり知られてはいません。

 しかし、全ての先進国に専門医がいます。かつては結核、中毒、じん肺などが大きな問題でした。近年は、ストレスや長時間労働による高血圧、心臓病、うつ病、腰痛、ぜんそくなど、一般的によくみられる病態が重要な課題になっています。

 政府が進める「働き方改革」では、産業医の権限が強まる予定です。次回から、産業医大(北九州市)の教授陣が、職場のさまざまな課題に向き合う産業医の取り組みを紹介していきます。より良い職場のあり方を一緒に考えてみませんか。

 (堀江正知=産業医大教授)

=2018/01/15付 西日本新聞朝刊=

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