【産業医が診る働き方改革】<7>睡眠の重要性、意識を

写真を見る

 睡眠時間が足りない状態が続き、健康への悪影響が積み重なる「睡眠負債」。高木智さん(49)=仮名=は睡眠負債を抱えた状態だと指摘されましたが、産業医と面談するまで自分の睡眠が足りていないとは全く考えていませんでした。

 常に眠気を強く感じているわけでも、日中居眠りばかりしているわけでもありません。通勤電車や会議中にうとうとしてしまうのは特別なことではないと思っていました。出勤日の朝はいつも6時半に起床し、夜は家族とのだんらんやテレビを楽しみ、インターネットのチェックなどをすると、就寝時間はほとんど午前1時ごろ。睡眠時間は約5時間半になります。

 産業医に伝えると「睡眠時間としては、ずいぶん短いかもしれませんね」と言われました。それでは、どのくらいの睡眠時間が良いのでしょうか。睡眠負債は自覚されにくいため、日中に眠気があるかどうかは当てになりません。休日と平日の起床時間に差があるかどうかが最も良い目安となります。休日に起床時間が数時間遅くなるのは、平日の睡眠が足りていない証拠です。

 高木さんも休日は時々、昼近くまで寝ていたので心当たりがありました。産業医からは「不足した睡眠を取り返すために、週末にいつもより長く睡眠を取ってしまうわけですが、そのくらいでは睡眠負債を解消できません。最も大事なのは日頃から睡眠が十分足りるような習慣を付けることです」と助言されました。

 厚生労働省の労働者健康状況調査(2012年)によると、日本の労働者で7時間以上睡眠を取っている人は全体の15%程度。8割以上が睡眠が足りていない状況のようです。睡眠負債の解消には、休日も平日と同じ時間に起床▽眠くなれば寝る-という規則正しい生活が大事です。

 しかし、高木さんは産業医の助言を聞いても、習慣を急に変えるのは難しいと感じています。実効性のある働き方改革のためには、私たち働く者自身も「十分な睡眠時間の確保は重要だ」と、睡眠に対する意識を大きく変えていく必要があるのかもしれません。

 (藤木通弘=産業医大教授)

=2018/03/12付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]