

柳川市と中国・余姚(よよう)市との、350年越しの国際交流が活発になっている。きっかけは17世紀に活躍した儒学者、安東(あんどう)省菴(せいあん)(1622-1701)と朱舜水(しゅしゅんすい)(1600-82)。経済発展に伴い一層の増加が見込まれる中国人観光客を呼び込む狙いもある。5日、余姚市の修学旅行生が初めて柳川を訪れ、省菴ゆかりの伝習館高校で歓迎会が開かれた。
余姚市は杭州湾を挟んで上海の南側に位置する人口85万人の地方都市。朱舜水や、陽明学を起こした王陽明の出身地として知られる。
明代末、朱舜水は北方の清から侵攻を受ける明朝の再興に奔走していたが、1659年に長崎に亡命。そこで6年間にわたり、柳河藩の儒学者だった省菴から、物心両面で手厚い支援を受けた。
朱舜水を師と仰いだ省菴は、自らの窮乏をいとわず、俸禄の半分を使って生活を助けた。その後、朱舜水は徳川光圀に招かれて江戸へ赴くが、返礼として省菴に青銅製の孔子像3体を贈った。その内の1体が、省菴の私塾から始まった伝習館高に保管されている。
5日の歓迎会には、朱舜水の名を冠する舜水中学の生徒28人が来校し、京劇の歌を歌ったり、「中日友誼(ゆうぎ)(友好)」と書いた書道を披露したりして、交流を深めた。伝習館生は琴の演奏や校歌の合唱を披露して歓迎。プレゼントの交換も行われた。
生徒会長の2年亀崎元貴さん(17)は「孔子像は私たちの誇りです。再び安東省菴と朱舜水が出会ったような気がします」とあいさつ。舜水中学2年の何俊成さん(13)は「交流できてとてもうれしい。ぜひ舜水中学にも来てください」と呼び掛けた。歓迎会後には、孔子像も見学した。
両市の交流は1990年代に始まったが、昨年1月に余姚市の伝統劇「姚劇」が柳川で初公演されたのをきっかけに、一気に機運が高まった。同8月には、柳川で両市の観光関係者による説明会が開かれたほか、同11月には余姚市のテレビ局が取材に訪れた。
交流を進めてきた安東省菴顕彰会の会長を務める立花民雄・市観光協会長は「余姚市側が非常に積極的になっている。中国人観光客を呼び込むためにも、大いに柳川を宣伝していきたい」と話し、今後も交流を広げていく考えを示した。
=2010/02/06付 西日本新聞朝刊=