
中古パソコン販売のメディエイター(福岡市)が、薄型軽量で持ち運びやすく、電子書籍などさまざまなアプリケーションを楽しめるタブレット端末の自社ブランド品販売に取り組んでいる。iPad(アイパッド)が火付け役となったタブレット端末は、市場の伸びが期待できる次世代端末として、シャープなどの国内外の大手メーカーが年内の発売を計画している。メディエイターの黒木英隆社長(43)は「西日本初のオリジナルタブレット端末として、今秋の発売を目指す」と意気込んでいる。
同社はパソコン量販大手企業を退職し、高齢者向けパソコン教室の講師をしていた黒木社長が、生徒の「新型のパソコンは機能が多すぎて難しい」という声を受け、2003年に創業。インターネットや文書作成など機能を絞り込み、自前のマニュアルを付けた中古パソコンを格安で販売し、年商29億円を売り上げるまでに成長した。
しかし、08年秋のリーマン・ショックの影響で、在庫の価値が半減し、10年3月期には創業以来初めて赤字を計上。さらにiPadの登場で、2台目需要の受け皿となってきた中古パソコン市場は停滞してきた。
危機感を強めていた黒木社長にヒントをもたらしたのは、「操作が簡単で、指でなぞるだけで文字を拡大できる。紙の本より電子書籍が安いのも、年金暮らしの高齢者にとって魅力的」と、iPadを購入した71歳の父だ。メディエイターの顧客50万人の大半は、パソコン初心者の高齢者。タブレット端末を、割安で販売すれば、アップルブランドにこだわらない人々の需要を取り込めると判断し、自社ブランドでの製造を決めた。
タブレット端末の技術そのものは、最先端でない。液晶画面以外は中国で調達することにし、6月に、かつてオリジナルPCの製造を委託した中国・深〓の工場と共同制作に着手。黒木社長自ら、現地に足を運び、試作品完成にこぎつけた。
試作品は基本ソフト(OS)にアンドロイドを搭載。無線LAN通信機能を備えている。起動時間やタッチパネルの反応が遅いなどの課題を抱えているが、同社は10月を目標に、iPadより3割安い3万-3万5千円での販売を目指す。
黒木社長は「タブレット端末は、パソコンや情報技術(IT)の概念を大きく変える商品。当社もパソコンの卸売業から脱却するため、あらゆる手を打ちたい」としている。
※〓は「つちへん」に「川」
=2010/07/31付 西日本新聞朝刊=