
職場や飲食店、公共施設で分煙や禁煙が進む中、大学でも敷地内を全面禁煙にする動きが広がっている。久留米大(福岡県久留米市)が4月からキャンパスや付属の医療機関で全面禁煙に踏み切るほか、立命館アジア太平洋大(大分県別府市)も来年4月に実施予定。ただ、既に実施している大学では学外での喫煙が増えたなどの悩みも出ており、煙を消すのは一筋縄ではいかないようだ。
「キャンパス内をキレイに」と書いたのぼり旗を手に、緑のベストを着た集団が練り歩く。4月から医学部と二つある病院を含めて敷地内を全て禁煙にする久留米大のキャンパス。教職員でつくる「禁煙推進プロジェクト委員会」が週1日1時間ほど巡回し、禁煙が迫ることを宣伝しながらマナー違反の喫煙者に目を光らせている。
委員会の調査では、久留米大の医学部生の15・9%、医師の15・1%がたばこを吸っている。4月以降は喫煙者には携帯灰皿を配って敷地外での喫煙を促したり、地域の医療機関の禁煙外来を紹介したりする対策も練っている。委員長の石竹達也教授(環境医学)は「禁煙は強制できないが、健康とマナーは守らなければならない」と話す。立命館アジア太平洋大も来年4月から全面禁煙の予定だ。
福岡工業大(福岡市東区)も本年度から敷地内禁煙に取り組んでいる。2年の男子学生(20)は「吸う場所がなくなったから、たばこをやめた友達が2人いる。なんだか気の毒でもあるけど、自分は煙は嫌いだから歓迎です」と話す。
一方、07年1月から大学病院と医学部の敷地内を全面禁煙にした福岡大。1日1箱分を吸うという30代の男性スタッフは「学外の吸える場所に移動して仕事をしてます。仕事でストレスはたまるし、やめようと思うけど、なかなか…」と漏らす。
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禁煙が広がる背景には、健康増進法の施行(2003年)に加え、学校も公共施設として禁煙を推進することを求めた10年の厚生労働省の通知がある。養護教諭や教育学者などでつくる日本学校保健学会の「タバコのない学校」推進プロジェクトの調査によると、敷地内禁煙に取り組む大学・短大は10年前は7校程度だったが、実施予定も含めて12年度は124校に増える見込み。
課題もある。09年4月から全面禁煙にした九州歯科大(北九州市小倉北区)では実施直後、大学を一歩出た路上で喫煙する学生や職員が目立つようになり、吸い殻のポイ捨ても増えた。近くのコンビニなどで喫煙する学生もおり、地域から苦情も寄せられたという。そのため大学側は月2回、学生や職員に参加を呼び掛けて周辺の清掃を続けている。
福岡工業大は必要に応じてニコチンガムを配るほか「学生の関心をひける」と、戦場カメラマンの渡部陽一氏を招いた講演会を開き、喫煙マナーの徹底を呼びかけるなど工夫を凝らす。
「タバコのない学校」推進プロジェクト代表を務める中京大スポーツ科学部の家田重晴教授は「たばこは嗜好(しこう)品ではなく依存性薬物という考え方に立って、喫煙の芽を摘みとることは大学の責務」と徹底を呼びかける。
=2012/01/19付 西日本新聞夕刊=