西日本新聞

ホークス解雇バネに大舞台へ センバツ決定の早鞆高・大越監督

2012年1月28日 01:48 カテゴリー:社会 九州 > 福岡
選抜高校野球大会への初出場を決め、早鞆ナインと喜びを分かち合う大越基監督(左手前)=27日午後3時半すぎ、山口県下関市の早鞆高校

 第84回選抜高校野球大会(3月21日開幕)への初出場が27日決まった早鞆(はやとも)高(山口県下関市)。チームを率いるのは元プロ野球福岡ダイエー(現ソフトバンク)ホークスの外野手だった大越基監督(40)だ。朗報を受けると号泣。「泣くつもりはなかったんですけど…」。9年前にホークスを解雇され、同校の監督に就任して3年目。教え子たちの手で胴上げされ、思わず感極まった。

 仙台育英高(宮城)3年時の1989年夏、エースとして甲子園準優勝。早大を中退後、ドラフト1位で入団したプロの世界では野手転向を強いられ、猛練習で1軍に定着した。2003年、日本シリーズにベンチ入りしながら、日本一を決めた最終戦の3日後に戦力外通告を受けた。野球を諦めきれずに04年、東亜大に進学して教員免許を取得。07年に早鞆高に着任、09年から野球部監督として指揮を執ったが、勝てない日々が続いた。

 気持ちが表情に出るタイプだった。「選手は監督の顔を見ている。お前が変わらないと何も変わらんぞ」。かつての同僚、福岡ソフトバンクの鳥越裕介コーチの言葉が胸を射抜いた。「元プロという意識をなくした」。冗談を交えて選手に接し、ベンチで声を荒らげることをやめた。昨夏は選手と甲子園大会決勝を現地観戦、同秋の中国大会で4強入りした。

 東日本大震災で被害を受けた宮城県七ケ浜町の出身。高校時代のチームメートの母親の悲報にも接した。今大会への思い入れは強い。「石巻工高さんとやれたら…。彼らの背負っているものは出場校の中で一番だと思う」。大舞台へ向け、教え子たちを見つめる目が細くなった。

=2012/01/28付 西日本新聞朝刊=

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