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復興文集、教育者ら執筆 不眠不休の初期対応、心のケア… 「体験と教訓を遺産に」 [熊本県]

文集を手にする梅木節男理事長(右)と篠原由美子副理事長
文集を手にする梅木節男理事長(右)と篠原由美子副理事長
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熊本地震の被害を伝える写真や教育関係者などの寄稿文で構成した文集
熊本地震の被害を伝える写真や教育関係者などの寄稿文で構成した文集
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 県内の教育関係者らが、熊本地震の体験や復興への思いを寄せた文集が完成した。NPO法人熊本教育振興会が3千部を刊行し、行政・企業関係者を含む40人超が筆を執った。不眠不休の初期対応、避難所運営で見えた地域と学校のつながりの重要性、校庭に椅子を並べ「SOS」のメッセージを上空のヘリに送った高校生の体験談など、密度の濃い内容。同会の梅木節男理事長は「多くの体験と教訓を遺産とする貴重な資料だ」と話す。

 「大地はこんなにも揺れるものなのかと信じがたい恐怖に襲われました。大人でさえ経験したことのない恐怖を味わった児童の衝撃はいかばかりであったか」。熊本市の帯山小、今村文子教諭は当時の心境をこう記した。

 直後、今村さんの脳裏に浮かんだのは、東日本大震災が起きた2011年から交流していた宮城県気仙沼市の階上(はしかみ)小のことだった。子どもたちのこと、避難所運営の疑問などを書き出し、同小に連絡して尋ねた。すぐに防災主幹教諭などから詳細な返事が届いた。丁寧な助言のおかげで「避難所運営から学校再開までを大変スムーズに進めることができた」という。

 長く続いた激しい余震。「怖くて家にいられない」「夜が怖い」「トイレに1人で行けない」。学校再開後も多くの教師たちが、子どもたちの心に与えた衝撃を感じ取った。「(学生ボランティアが)運動場で一緒に遊んでくれたことで、不安定になりがちな子どもたちの精神状態を安定させることができた」(託麻原小の下城久秀校長)。緒方登志子上益城教育事務所長は「今後も長い長い見守りが求められる」と強調した。

 避難所や被災地で、普段とは別の顔を見せる若い世代がいた。「今の若い者はやる気がないと思っていたが、それは間違いだと気づかせてくれた」。元小学校長の白河部健さんは、益城町でボランティアに駆け付けた青年たちの姿を見てそう感じたという。

 元中学校長の内藤稔さんは「学校は勉強するばかりのところではなく、地域の人々との結びつきの大切さを認識させてくれた」と振り返った。一方で少子化に伴い学校の統廃合が進む傾向を踏まえ「地域のよりどころである学校が、このような状況で大丈夫か」と問題提起した。

 国府高3年の野田拓海さんは地震直後、教師や卒業生と話し合い、校庭にパイプ椅子を並べて「SOS」を送った。「今回の地震で人の優しさ、友の大切さ、普通の生活があたりまえじゃないことを実感した。たくさんの方から『ありがとう』と言われたことは一生の宝物になると思う」と振り返った。

 編集長の篠原由美子副理事長はこう結んだ。「日本列島の美しい自然、しかし、その景観の下には多くの活断層が走り、火山帯もある。いつ災害が起きても、自分の命、家族の命を確実に守れるように、この記録が生かされることを切に望みたい」 (文中の肩書は当時)

=2017/02/17付 西日本新聞朝刊=

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