ホークスファンタブレット

ヒッチハイク165日間日本一周 撮り続けた写真100点展示 東海大農学部OB・森屋さん [熊本県]

青森、宮城、千葉、高知、山口…国内各地で出会った人たちの笑顔を捉えた写真(写真展の案内はがきから)
青森、宮城、千葉、高知、山口…国内各地で出会った人たちの笑顔を捉えた写真(写真展の案内はがきから)
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熊本市の繁華街で「チョコください」とアピールする森屋元気さん(左)と大学の後輩の中田隆さん
熊本市の繁華街で「チョコください」とアピールする森屋元気さん(左)と大学の後輩の中田隆さん
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 動機は割とありふれていて、「退屈な日常を変えたかったから」。カメラマン志望の森屋元気さん(23)が、日本一周ヒッチハイクの旅に出たのは、南阿蘇村の東海大農学部を卒業して3日後、昨年の3月だった。翌4月に起きた熊本地震の被災地でのボランティア活動を挟み、計293台の車を乗り継いで47都道府県を165日かけて旅した。各地での出会いと励ましの言葉が、若者にもたらした変化とは-。

 「旅に出る」。大学の卒業式の日、友人たちに宣言した。好きなことを生涯の仕事にしたいとの思いと、明確な進路を描けないもどかしさ。在学中、国内外を放浪する旅に入れ込んだ。「人生一度きり」。自分に言い聞かせ、一眼レフカメラを肩に下げて旅に出た。

 出はなをくじかれた。4月の熊本地震。滞在先の沖縄からとんぼ返りした。支援物資の振り分けを手伝ったり、避難所で飲み物を配ったり、濃密な1週間を過ごした。旅を再開して九州、関西から日本海側へ回って北陸、北海道へ。復路は東日本大震災の被災地の太平洋側を南下し本州、四国などを巡り、実家のある岡山県に戻った。

 刺激的な日々だった。車に乗せてくれる人が見つからず、路傍に立ち続けたことがあった。交通事故で病院へ運ばれたことも。困り果てると、誰かが手を差し伸べてくれた。

 何もお返しできない無力さを嘆く森屋さんに、多くの人が口をそろえるように言った。「次に困っている人を見掛けたら、助けてあげて」。出会った人たちにカメラのレンズを向けた。心が通じ合ってこそ、とびきりの笑顔が撮れることを知った。昨秋、旅を終えると、自動車工場で働くなどしてカメラマンになるための機材を買いそろえた。

 山口県で会った老夫婦の恋の助言が心に残る。「気になる子には、気持ちを言葉で伝えなさい。じゃなきゃ、伝わんないよ」

 ホワイトデーの14日、熊本市の繁華街。「1カ月遅れの春よ来い! チョコください」。マジックで書き殴った段ボールを掲げる森屋さんの姿があった。

 「頑張って」と、わざわざ近くの店で板チョコを買ってきてくれたスーツ姿の男性がいた。「イチゴ狩りに行ってきたんだ」とお裾分けをしてくれた女子学生も。繁華街を2時間歩くと、チョコやバナナ、駄菓子で袋がいっぱいに。全国から支援を受けた被災地だからこそ、自然と湧き起こる恩返しの気持ちなのかもしれない。熊本、神戸、東日本の被災地を巡った森屋さんには、そう思えた。

 どちらかといえばおとなしいタイプだったと振り返る森屋さんは「この旅で行動する大切さを知った」。次の目標は、人を笑顔にする写真を撮り続けること。いつか、人と人の出会いの場となるゲストハウスを開くこと。ぼんやりしていた夢のかたちがくっきりしてきた。

      ◇

 20日午後1~7時、21日午前10時~午後6時、旅先で出会った人たちの写真約100点を飾る「日本一周笑顔写真展『大切なもの』」を開く。会場は熊本市中央区水道町のギャラリーキムラ。無料。

=2017/03/18付 西日本新聞朝刊=

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