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山江村教委、山間部点在の仏像を調査 未指定文化財の管理手薄に [熊本県]

山間部の堂に安置された仏像を調査する山江村教育委員会と専門家のチーム
山間部の堂に安置された仏像を調査する山江村教育委員会と専門家のチーム
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堂の中で1体ずつ寸法や様式などを調べ、記録する専門家
堂の中で1体ずつ寸法や様式などを調べ、記録する専門家
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 集落や個人が管理する未指定の文化財を盗難や劣化からどう守り、後世に引き継ぐか-。全国的な課題に対し、山江村教育委員会は文化財の専門家たちの協力を仰ぎ、山間部に点在する堂の仏像などの基礎調査を行った。文化財としての価値とともに見えてきたのは、集落の過疎高齢化が進む中、必然的に手薄になっている管理状況だった。調査に同行した。

 曲がりくねった狭い山道を通って到着した同村山田の地蔵堂。調査チームは、像高数十センチの木造地蔵菩薩(ぼさつ)立像など4体を丁寧に棚から下ろした。はけでほこりを払い、前後左右と底部の写真を撮影。材質や時代判定、構造、細かな寸法などを調書に記録していった。

 堂は扉が無く、板を打ち付けた壁には隙間が目立つ。素人目にも仏像が盗まれはしないか、風雨にぬれるのでは-と心配になった。調査の指南役の菊竹淳一九州大名誉教授は「村の資料館で預かるのが望ましい」と、山江村教委の担当職員に助言した。職員は「管理している住民と速やかに話し合いたい」と応じた。

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 調査を実現させたのは昨年6月まで5年半、村の教育長を務めた大平和明さん(67)。在任中、明治時代の村内の文化財一覧を手がかりに、2年がかりで50カ所以上の堂を回り現在の管理状況を調べた。堂がなくなり雨ざらしになっていた仏像や、雨漏りする堂があることに危機感を募らせ、調査費を予算化した。

 調査には、県立美術館の有木芳隆学芸課主幹を中心に八代市立博物館未来の森ミュージアムと崇城大図書館の学芸員が参加。今月4日までの3日間、大平さんと村教委職員の案内で、7カ所の堂の仏像や神像など約80体を調査した。

 有木主幹は「何回も人吉球磨の文化財を調査してきたが、見過ごされていた貴重なものがあることが改めて分かった」と総括する。

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 今後の具体的な調査日程などは未定。大平さんは「まずは調査を継続し、価値を把握することが大事。その上で村としてどう保存、活用するかという次のステップを考えていかないといけないが、そこが一番難しい」と話す。

 人吉球磨地域は数多くの文化財が集中しており、2015年4月には文化庁の日本遺産にも認定されて注目度が上がっている。

 菊竹名誉教授は「日本遺産の宣伝だけでなく、守る対策もしっかり取らなければいけない。お年寄りが散歩のついでに堂の施錠を確認するなど、無理なくできる文化財パトロールも一つの方法」と提案する。

=2017/03/21付 西日本新聞朝刊=

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