「助け合いの大切さ」作品集に 熊本市の元教員「ばあばのひとりごと」地震の体験つづる

「今の子どもたちが大きく成長したときにこの冊子を開いてほしい」と話す寺尾禎子さん
「今の子どもたちが大きく成長したときにこの冊子を開いてほしい」と話す寺尾禎子さん
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 熊本市の寺尾禎子さん(72)=ペンネーム・寺山よしこ=が、熊本地震の被災体験や復興への思いを俳句や詩で表現した作品集「2016年熊本地震 ばあばのひとりごと」を自費出版した。2004年に定年退職するまでの38年間、宇土市や宇城市などの小学校で教員を務めた寺尾さん。「後の世代の子どもたちに、助け合うことや備えの大切さを伝えたい」と話している。

 避難所から帰る途中、『井戸があります。水をお分けします』という張り紙があった。この地区の区長さんの家だ。先に家に帰った娘たちもさっそくもらいに行っていた。地震後、いろんな人のやさしい心、助け合いの精神に触れることができて、心が和んだのだった。

 作品集は、熊本地震の前震の昨年4月14日から約3カ月間を記録した日記から始まる。寺尾さんは、熊本市内のマンションの自室で被災。家族と避難所の小学校に数日間身を寄せた。普段顔を合わせることがほとんどない近隣住民たちが、声を掛け合って互いに身の安全を確保したこと、宮城県から駆けつけたボランティアが自宅の片付けを手伝ってくれたこと…。経験したことのない激しい揺れの被害に戸惑う中で、周囲から受けた思いやりへの感謝をつづる。

 心の通いあいが、災害にあった中でも救いである。

 地震で傷ついた街並みの中で、再び立ち上がろうとする自然の生命力を描写する俳句もある。

 地の揺れに 荒れし川にも 蛍涌く

 地のひびに 青花青を 重ねけり

 倒れたる 家を囲める 麦の秋

 現代詩「小さな復興」には、コチョウランの植木鉢が出窓から1メートル下の床に落下したにもかかわらず、1カ月後に見事な黄色い花を咲かせたことの喜びを描いた。「地震にめげない植物から、前を向くエネルギーをもらいました」

 子どもが読みやすいよう、創作童話「ちいちゃんと小犬のミニー」も収めた。地震をきっかけに少女と祖母、愛犬の絆が深まるストーリーで、自作のイラストも添えた。作品集は38ページ、A5判。要望があれば無料で配布する。寺尾さん=096(364)0680。

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 寺尾さんが所属する「くまもと文学・歴史館友の会」は16日(日)午後1時半~4時半、熊本市中央区の同館展示室3で熊本地震をテーマとする俳句や短歌の朗読会を開く。参加無料。

=2017/04/09付 西日本新聞朝刊=

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