湯布院の被災古民家が姿変え観光再興へ 老舗旅館「亀の井別荘」にサロン

古民家を改修して「サロン」を開設した中谷健太郎さん=3月末、大分県由布市
古民家を改修して「サロン」を開設した中谷健太郎さん=3月末、大分県由布市
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 熊本地震で被災した大分県由布市の老舗旅館「亀の井別荘」の敷地内にある古民家が、湯布院の歴史や文化を発信するサロンに生まれ変わった。本震で震度6弱を観測し、家屋損壊が相次いだ由布市。改修を決めた相談役の中谷健太郎さん(83)は「復興は道半ば。サロンを拠点に湯布院観光を前へ進めたい」と話す。

 古民家は「庄屋」と呼ばれ、築200年の木造2階建て。中谷さんの自宅を兼ね、著名人らの交流や滞在にも活用されてきた。

 本震では玄関部分などが崩落して半壊した。当時、庄屋で芝居を演じる予定だった俳優の柄本明さんが宿泊し、夜明けまで木立の中を歩き回っていたという。

 中谷さんは解体も考えたが、常連客から「心の古里を残してほしい」と懇願され、資材提供の申し出などもあり、改修を決めた。

 旧知の建築家、坂茂さんも協力した。吹き抜け構造にし、2階部分の壁際に一周できる通路を設置。壁には本棚を据え付け、中谷さん愛読の映画関係の本や小説、DVDを並べた。1階はギャラリーで、3月から若手工芸作家が作品を展示する場となっている。

 温泉客は持ち直しつつあるが、再建できていない旅館も残る。中谷さんの描く湯布院の理想は温泉、山、水が織りなす滞在型の保養地。「別の旅館から日中を過ごしに来てもいいし、会員制にして一年を通じて楽しんでもらってもいい。新たな湯布院観光の在り方をここから模索したい」。6月には柄本さんが復活を祝い、サロンで芝居を披露する予定だ。

=2017/04/15付 西日本新聞朝刊=

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