外国人向け防災冊子広がる 熊本地震を教訓に 九州の自治体

福岡県が改定した「外国人のための防災ハンドブック」
福岡県が改定した「外国人のための防災ハンドブック」
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 外国人に防災の知識や情報を周知する多言語の冊子を新たに作成したり、言語や内容を追加したりする動きが九州各地で広がっている。昨年4月の熊本地震でも外国人支援が大きな課題となった。在留者が増え、国籍も多様化する中、各自治体が対応を進めている。

 熊本市国際交流振興事業団によると、熊本地震の際には避難所の存在すら知らず、多くの外国人が地域で孤立した。そもそも発生したのが地震かどうか認識できていなかった人もおり、当時、福岡市で震度4を経験したネパール人クリシュナ・カンデルさん(38)も来日2年目で「こんなに揺れるのかと驚いた。どこへ逃げればいいか分からなかった」と振り返る。

 福岡県は今年3月、東日本大震災を教訓として2012年に作成した「外国人のための防災ハンドブック」を改訂した。これまでの英語、中国語、韓国語、タガログ語に加え、ネパール語とベトナム語でも説明。担当者は「知識がなくて命を落とすこともある」と活用を呼び掛ける。

 佐賀県は、県国際交流協会が12年に作成した日英中韓の定住外国人向け「生活ガイド」に「指さし会話」を加えることにした。例えば「連れていってください」の項目を指さし、その下に病院や避難所など5カ所の行き先を表示して選べるようにした。インドネシア語など4言語を追加し、4月中に完成させるという。

 長崎市は昨年10月、4言語を併記した「外国人住民のための生活ガイド」を新たに作成した。防災知識に加え、119番の通報の仕方も盛り込んだ。

 冊子はいずれも、役所の窓口で手続きに来た外国人に渡したり、外国人が多い施設に置いたりする。外国人の被災者支援に詳しい新潟県柏崎地域国際化協会の清水由美子理事は「日本人には当然の防災知識でも、知らない外国人は少なくない。一方で災害への危機感が薄く、冊子を読まない人がおり、手渡す際に説明して必要性を認識してもらうなど工夫が大切だ」と話している。

=2017/04/24 西日本新聞=

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