熊本「観光復興」を旗印に

観光客が途切れなく訪れている鍋ケ滝
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滝つぼの裏側から眺める鍋ケ滝=いずれも21日、熊本県小国町
滝つぼの裏側から眺める鍋ケ滝=いずれも21日、熊本県小国町
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「鹿肉のソテー」など合宿ジビエメニューを試食する人たち=26日、熊本県水上村
「鹿肉のソテー」など合宿ジビエメニューを試食する人たち=26日、熊本県水上村
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熊本県益城町や周辺の農産物や加工食品が並ぶ「益城ファーマーズビレッジ・ファム」=27日午後、益城町
熊本県益城町や周辺の農産物や加工食品が並ぶ「益城ファーマーズビレッジ・ファム」=27日午後、益城町
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 ゴールデンウイーク(GW)目前。熊本地震の発生から1年が過ぎた熊本県内の観光地は「観光復興」を旗印に、自然の景観と食の魅力、恵まれたスポーツ環境などをアピールしている。

■「鍋ケ滝」裏からも絶景 小国

 熊本県小国町黒渕の山峡を下る蓬〓(ほうらい)川にある「鍋ケ滝」が人気だ。落差10メートル、幅20メートルほどだが、この2年間で36万人が見物に訪れた。川水が落ちる崖が浸食作用でえぐれ、滝の裏側が空洞状になっている。滝つぼに落ちる流れを裏からも眺められる「裏見の滝」。熊本地震後も訪問客は絶えず、地元も驚くにぎわいに、観光復興へ温泉地や行政関係者の期待は大きい。

 20日、熊本県南小国町の黒川温泉であった「やまなみハイウェイ観光連絡協議会」。観光関係者などが集った会合で、小国町の担当者が鍋ケ滝のにぎわいを紹介した。十数年前にテレビCMのロケ地になり、訪れた人たちの評判がインターネットなどを通じて知られるようになったという。

 地元では以前から、滝を地域おこしに活用する取り組みがあった。地元の穴井康雄さん(67)は「滝に下りる道の雑草を切ったり、足場を歩きやすくならしたりした」と住民主導で観光資源化を図った歩みを話す。

 訪問者の増加に町は入り口の民有地を買い上げて駐車場と遊歩道を整備。公園化して2015年から入園料の徴収を始めた。今や二つの駐車場では手狭でさらなる整備を検討中という。

 「地震後、観光地はさまざまな仕掛けで誘客に知恵を絞るが成果は一様ではない。鍋ケ滝のにぎわいは、感動を与える観光資源とは何かを見つめ直す上で示唆に富む」と町の担当者。入園料は大人200円、小中学生100円。

    ◇      ◇

■クロカン施設、ジビエも 水上

 熊本県水上村は、野山を走るクロスカントリー用の競技施設「水上スカイヴィレッジ」を5月24日、村内の九州中央山地国定公園一帯に開業する。村の各宿泊施設は、アスリートに適した高タンパク低カロリーの鹿肉料理を「合宿ジビエメニュー」として提供。準高地トレーニングに適した標高約千メートルの立地に加え、栄養面で選手を支え、優れた育成環境をアピールする。

 村観光協会が考案したのは、農作物被害対策として村内で駆除した鹿の肉を使ったソテーやコロッケ、竜田揚げなど5品。4月26日の発表会では各温泉宿が、これらの品々にヤマメの塩焼きなどの名物を加えた計1300キロカロリー設定の夕食を披露。同協会の西和人会長は「食は重要。より良い料理を提供する」と意気込む。

 村は約5年前から「スポーツ観光」に注力。スカイヴィレッジでは、宮崎県境の原野約20ヘクタールに2キロのクロカンコースを整備した。全天候型300メートルトラックなどもある本格的施設で、全体をトヨタ自動車九州陸上部の森下広一監督らが監修した。開業日から早速、ワコール女子陸上部が利用する。合宿料金は高校生以下が5千円から。クロカン利用料は別途必要。

    ◇      ◇

■誘客の拠点へ農産物直売所 益城

 熊本地震で被災した熊本県益城町に29日、地元で生産した農産物や加工食品を販売する「益城ファーマーズビレッジ・ファム」がオープンする。町内に本社を置く食品卸業、丸菱が開設。生産者の販路拡大や観光客誘致につなげる拠点として、復興の後押しを目指す。27日、内覧会があった。

 同社の工場敷地内にコンテナを置き、中に直売所とカフェを設けた。直売所には益城町を中心とする約70軒の農家が出荷。旬の野菜や肉、弁当などを並べる。カフェでは、あか牛を100%使ったハンバーガーなど熊本県産の食材を使った料理が味わえる。

 震災で農地や農機具が使えなくなった農家や、取引先の飲食店などが被災して販売減に直面している食品業者は少なくない。同町で米や柿を作る坂井謙二さん(65)は「自宅や納屋は全壊して、農機も買い替えが必要。販売先が増えるのはありがたい」と喜ぶ。

 施設前には広場を整備し、定期的にイベントも計画する。同社は「住民にも日常的に使ってもらって地域のにぎわいづくりにつなげたい」と話す。

※〓は「くさかんむり」に「來」

=2017/04/28付 西日本新聞朝刊=

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