生活再建へ、南阿蘇村が公園化案 熊本地震で5人死亡の分譲地

5人が犠牲になった高野台分譲地。土砂崩れの跡が熊本地震発生から1年が過ぎた今も残る=20日午後、熊本県南阿蘇村
5人が犠牲になった高野台分譲地。土砂崩れの跡が熊本地震発生から1年が過ぎた今も残る=20日午後、熊本県南阿蘇村
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 熊本地震による土砂崩れで5人が死亡した熊本県南阿蘇村の高野台分譲地について、村が震災遺構を保存した公園として整備する計画を検討していることが分かった。実現すれば民有地を買い取るか借り上げることになり、移転を希望する住民の生活再建を後押しする格好になりそうだ。国の補助事業を活用する方針で、村は国や県、有識者を交えた協議会を23日に立ち上げ、崩落した阿蘇大橋の周辺など被害が甚大な地域とともに震災遺構の在り方を一体的に検討する。

 熊本県では南阿蘇村や西原村などで、集団で別の場所に移る「防災集団移転促進事業」や、同じ場所に集落を整備する「小規模住宅地区改良事業」などを軸に集落再生を目指す議論が続いているが、住民の合意形成などで難航、住宅再建のめどが立たないケースも目立っている。

 高野台分譲地は16世帯すべてが全半壊し、地震発生から1年が経過した今も土砂崩れの爪痕は残ったまま。移住促進を狙って2000年に村が分譲した経緯もあり、住民からは土地の買い取りを求める声も上がっていた。対応を巡って村と住民は昨秋から協議を重ね、防災集団移転促進事業の適用などを模索したが、方針は定まらなかった。

 現状では遺族を除く12世帯のうち8世帯が移転を希望。4世帯は土砂災害を免れた一画にあり、現地で自宅を修復する意向を示しているという。村は住宅再建のめどが立たない12軒について、各宅地などを合わせた約2千平方メートルを活用し公園化を検討。国土交通省によると、過去の震災でも被災した民有地を保存した例はあり、条件を満たせば防災公園の整備に関する国の補助事業の活用などが可能という。

 村は地震後に策定した復興計画に「地震被害の教訓を後世に伝え、防災意識の向上や観光への展開につなげるため、被害が甚大な場所を保存することを検討する」と掲げる。土砂崩れの跡が色濃く残る分譲地も「震災遺構として保存する意義がある」と村はみる。村内の震災遺構を巡っては、東海大阿蘇キャンパス内の地表に現れた断層を防災教育や観光資源に生かすため、県が主体となって保存する方針を示している。

=2017/05/21付 西日本新聞朝刊=

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