マンホールトイレ、九州で整備進む 熊本地震で効果、国も補助

マンホールトイレに座って使い勝手を確認する住民ら=9日、福岡市早良区
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 地震などの大規模災害に備え「マンホールトイレ」を整備する動きが九州の自治体でも広がっている。マンホールのふたを外して簡易便器を置けば下水管に直接流せる仕組みで、くみ取り式の仮設トイレより衛生的な上、簡単に設置できるのが利点だ。広範囲に断水した昨年の熊本地震でも効果を発揮しており、国土交通省は自治体への補助制度を通じ、普及を促している。

 6月上旬、福岡市早良区の公民館であった自主防災研修会。5人のお年寄りが直径約30センチのマンホールに簡易トイレを据え付けた。作業はわずか10分。民生委員会長の園田公代さん(63)は「万が一に備え、組み立て方を知っておくだけで安心」と話した。

 マンホールトイレは、市町村などが指定避難所となる学校や公園に整備。埋設された下水管に取り付け工事を施し、地上と排水管で接続する。非常時には避難者らがふたを取り外し、簡易な洋式便座を取り付け、周囲を目隠しのテントで覆って使用する。断水時でもプールや川の水で流せば排せつ物がたまらず、テントは通気性が高いため臭いがこもりにくい。

 九州7県内の政令市、県庁所在市のうち最も設置が進んでいるのは宮崎市の143台。南海トラフ地震対策の一環だ。大分市も防災拠点2カ所に計50台を整備した。警固断層地震が懸念される福岡市は、本年度の地域防災計画に整備推進方針を盛り込んだ。既に8カ所29台を整備済み。2020年度までに改築予定の公民館10カ所にも導入する。

 熊本地震では、熊本市内の4中学校で使用され「洋式で段差がなくて楽」などと好評だった。同市には3月末現在、中学校13校に各5台があるが、21年度までに新たに中学校25校に整備する目標を前倒しし、小学校にも増やしていく。

 国交省は自治体の整備費の半額を補助。昨年3月末までに全国340の市区町村が計2万4千台を整備し、2年間で約1・3倍になった。一方、自治体の取り組みにはばらつきも。未整備の長崎市は「大地震の経験がなく意識が薄い面もある。設置に向け協議したい」としている。

=2017/06/22付 西日本新聞朝刊=

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