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【おれんじ鉄道物語】(3)挑戦 地域の宝庫を生かせ

鹿児島市のふるさと屋台村で、店のスタッフと談笑する古木圭介さん
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芝生が整備された薩摩国分寺跡史跡公園
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 「沿線は観光資源と食材の宝庫だ。生かさない手はない」。肥薩おれんじ鉄道(八代市-鹿児島県薩摩川内市)の元社長、古木(こぎ)圭介さん(74)=鹿児島市=は2009年の就任当初、沿線を回った実感を振り返る。これが後に、レストラン列車「おれんじ食堂」を誕生させる原点となった。

 同鉄道は04年、九州新幹線開業でJR九州から経営分離してスタート。沿線の人口減で乗客が減り続け、累積赤字が膨らむローカル線共通の悩みを抱える。鹿児島市のホテル再建の手腕を買われ、2代目社長となった古木さん。「立て直すには観光で交流人口を増やすしかない。地域振興にも貢献できる」と確信した。

 オリジナルの観光列車を走らせられないか-。思い出したのは、経営する海外旅行会社の出張で乗ったスイスの「氷河特急」だった。車中で景色と食事を楽しむ「世界一遅い特急列車」として人気が高い。スロー運行で車窓の海原を眺め、沿線の豊かな食材を使った料理を味わうという「おれんじ食堂」の方向が決まった。

 車両デザインは、JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」などを手掛けたことで知られる水戸岡鋭治さんに依頼。長距離列車の食堂車が全国から消えつつあることに寂しさを覚えていた水戸岡さんは、二つ返事で引き受けたという。

 13年3月、おれんじ食堂が運行。9月まで予約で埋まった。同年夏から外国人を主な対象にした団体客用貸し切り列車「おれんじカフェ」も順調に滑り出した。それらを見届け、古木さんは社長を退いた。

 感慨深いのは、鹿児島県の薩摩高城(たき)駅前から東シナ海の展望場所に至る道を社員と整備した体験だ。約1カ月、部署を超えて集まった社員たちとやぶの木や枝を切って道を開き、植樹をした。同駅はおれんじ食堂の重要な停車駅となり、住民が地元産品でもてなす。

 JR鹿児島中央駅前のグルメスポット「かごっまふるさと屋台村」を運営するNPO法人理事長などとして活躍する古木さん。「鉄道の役割は交通の足を守るだけでなく、地域振興にも資すること。地域の人に喜んでもらい、支持されることが大事だ」とエールを送る。

 古木さんは積極的に社員を新規採用した。未来を担う若手は重要な戦力だ。

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沿線の見どころ 国指定史跡・薩摩国分寺跡公園(鹿児島県薩摩川内市)

 上川内駅から徒歩25分ほど、川内駅からは車で約10分。国分寺は奈良時代の聖武天皇が国家鎮護と五穀豊穣(ほうじょう)を願って全国に建立させた寺。薩摩国分寺跡は川内歴史資料館に隣接し、約1.6ヘクタールの歴史公園として整備された。礎石や復元された北門などが往事をしのばせ、芝生が整う一帯は散策コースとして親しまれる。歴史資料館には薩摩国分寺跡から出土した遺物や復元模型、旧川内市の歴史や文化、新田神社に関する資料などが展示されている。資料館=0996(20)2344(祝日を除く月曜休館)。

=2017/09/28付 西日本新聞朝刊=

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