多くの犠牲者が出た「轟の壕(ごう)」で、手を合わせる地元の家族連れ。毎年、お参りに来ているという=23日午前8時半、沖縄県糸満市伊敷

多くの犠牲者が出た「轟の壕(ごう)」で、手を合わせる地元の家族連れ。毎年、お参りに来ているという=23日午前8時半、沖縄県糸満市伊敷

 沖縄は23日、太平洋戦争末期の沖縄戦の組織的戦闘が終結した日から62年の「慰霊の日」を迎えた。最後の激戦地となった沖縄県糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園では、県主催の「沖縄全戦没者追悼式」があり、仲井真弘多知事や遺族ら約3200人(午前11時半現在)が参列。軍民合わせて20万人余の犠牲者を悼み、いまだ実現しない世界平和を祈った。

 文部科学省による高校教科書の検定で、住民の集団自決を「日本軍が強制した」とする記述が削られ、県民の強い反発が広がる中、安倍晋三首相も参列したが混乱はなかった。

 追悼式は今年で50回目。仲井真知事は平和宣言で、テロや核兵器の脅威、民族紛争などを例に「平和を脅かす要因は数限りなく存在する」と指摘。「沖縄戦の真実の姿を次の世代に伝え、その教訓を生かすことを一人一人が胸に刻み、それぞれの分野や立場で平和実現に努力することが求められている」と述べ、暗に教科書検定問題に触れる形で沖縄戦の継承を呼び掛けた。

 安倍首相は「本年は沖縄の復帰35周年。沖縄の自立経済の構築に向けて全力で取り組む」と表明。米軍基地問題は「県民の切実な声に耳を傾け、在日米軍再編を着実に推進する」と述べただけで、計画修正をめぐって政府と県の交渉が足踏み状態にある米軍普天間飛行場の移設問題には言及しなかった。

 国籍を問わず沖縄戦の戦没者名を刻む平和祈念公園内の「平和の礎(いしじ)」には、今年新たに神風特別攻撃隊や大和艦隊などの235人が追加刻銘され、刻銘者は24万609人になった。このうち九州・山口関係者は1万6063人。

 一方、多くの県民が命を落とした県内各地の防空壕(ごう)跡や慰霊碑前などでも、早朝から犠牲者の霊に静かに手を合わせる遺族らの姿が見られた。

=2007/06/23付 西日本新聞夕刊=