講師紹介

【福岡】
渡邊 美穂(わたなべ・みほ)
西日本新聞『食 くらし』取材班

得意分野:

■プロフィル
渡邊美穂出身:福岡県
生年 : 1974年
現住所 :
福岡県糸島市
主な経歴 : 1997年に西日本新聞社に入社。社会部記者だった2003年、朝刊一面で始まった長期企画「食卓の向こう側」の取材班になる。当時はまったく食に関心がなく、自宅からは生ゴミすら出ない状態だったが、できることから食生活を見直す「半歩先の挑戦」をスタート。体調が改善し、食の大切さを痛感した。2006年6月、転勤族である夫と暮らすため退社。2010年に第一子出産。現在、半農生活をしながら子育て中。

■問い合わせ先
aozoratomato3osampo55◎yahoo.co.jp
(メールをくださるときは、◎を@に変えてください)

◎食卓の向こう側・第2部「命」つなぐために
【トライ】「『半歩』を始めませんか」より

 「生ごみすら出ない」私の生活が昨年十一月、少し変わった。炊飯器のスイッチを入れた。半年前に賞味期限が切れていたみそも、新しく買った。

 社会部記者、重岡美穂(29)。独身。

 きっかけは、連載第一部(2003年12月掲載)に登場した長崎大学環境科学部助教授、中村修さんと会ったときの話。中村さんは、学生の大半は栄養バランスなど考えず、好きなものだけ食べる「呆食(ほうしょく)」だという。先輩記者は「なんて貧しい食生活」と驚き、私は「そんなにやばい?」と驚いた。人ごとじゃなかったのだ。

 言い訳はある。連日「午前さま」の生活。休みも不規則。外食なしでは生きていけない。でも、中村さんの一言に救われた。「半歩先を目指せばいいんじゃない?」
 そこで一念発起。(1)野菜を食べる(2)一日三食とる(3)外食は定食にする(4)間食は控える(5)自動販売機は使わない―これを「できる範囲で」やる。「半歩の挑戦」と名付けた。

   ×   ×

 ▼一カ月目 朝は眠い。やはり、みそ汁は面倒だ。いつか両親から「食べないよりまし」と言われた即席みそ汁で精いっぱい。一工夫して「チン」した冷凍食品のホウレンソウを入れる。

 半月後、みそ汁を手作り。割と簡単。いろんな野菜をたっぷり食べられるので、ありがたい。買い物は仕事の合間にスーパーで。

 昼と夜は、野菜も食べられる定食をもりもり食べた。豚のショウガ焼き定食、ハンバーグ定食…。ただ、何をどれだけ食べればいいか、分からない。時々無性に甘いものが食べたくなる。四キロ太った。

 ▼二カ月目 本で栄養バランスを勉強。肉や卵は毎日食べなくてもいいらしい。逆に、食べ過ぎると万病のもと。野菜中心の外食を探すものの、なかなかない。とりあえず昼は野菜いため定食やおでん定食がある店を見つけ、夜はデパ地下の和風弁当を増やした。

 体の働きをよくしようと、白米よりはミネラルやビタミンが豊富と知った玄米を初購入。食べにくいと聞いていたが、それほどでもない。便秘も減り「体は食事で快適になるもんだ」とうれしくなり、やる気も倍増。体重は元通りに。

 ▼三カ月目 朝食抜きの日も減り、ご飯と野菜、豆類を意識して食べるようになった。花粉症なのでアレルギーと食の関係の本も読み、農薬や食品添加物はできるだけ避けようと思った。運良く、デパ地下に無添加、無農薬の総菜店があり、常連に。弁当=写真C=と一緒に朝食の付け合わせも買うと楽。野菜不足の日が続くと「緑の葉っぱが食べたーい」と感じる。

   ×   ×

 変わったこと―。学生時代からひどかった生理痛が軽くなり、鎮痛剤がいらなくなった。血液検査では、赤血球が大きくなり、数も増えた(酸素を多く運ぶから疲れにくくなる)。化粧品店に調べてもらった肌の状態は、肌自身が元気になろうとする力(ターンオーバー)が改善した。

   ×   ×

 「半歩先」を目指し始めたころ「野菜といってもピンからキリまである」と忠告された。当時は「そう言われても」と馬耳東風。今なら聞けるが、いきなり“正論”には入れなかったのだ。
 玄米菜食主義など、いろんな人が言う「健康的な食生活」には堅苦しい印象があった。でも、この間に、それぞれのやり方があるんじゃないかと思うようになった。だって、ライフスタイルや好きな食べ物はさまざま。万人に通じる「正解食」はないだろう。
 今、挑戦は六カ月目。食べることを少し意識して「この体は、将来の『わが子』の体でもあるんだよな」とか、「野菜も自分で作ってみたい。でも、育つまでに一年もかかるのか」とか、いろんなことも見えてきた。

 もし、あなたが「呆食かな」と思ったら、「半歩」を始めてみませんか。

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