2010年5月10日

【元気野菜de元気人間(吉田俊道)】<2>ファイトケミカル

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太陽の光を葉っぱ全体で受け止めて成長中のナス=17日、福岡市東区箱崎の九州大キャンパス

草を食べるライオン

 今、畑では夏野菜の苗がぐんぐん成長中。青空の下、移植した当日は、さすがに葉に日焼け症状が出ることがあるけれど、すぐ慣れて葉を広げ、一日中気持ちよさそうに強い光を浴びています。私はそんな葉っぱを眺めながら、すごいなあって、ほとほと感心します。

 だって、私たちが裸で一日中、あの太陽の強い光にさらされたら、数日後は慣れるどころか死にそうな状態ですよ。

 日光を浴びることは骨の形成とも関係があり、生きていく上では重要ですが、なかに含まれる紫外線は有害。DNAを損傷するだけでなく、体内の水分に当たると有害な活性酸素を発生させることもある。だから多くの動物は、使い捨ての深い毛で体を覆って暮らしているわけです。では植物はなぜ、一日中素肌をさらしても平気なのか。

 光のエネルギーを利用する植物は、光の害に耐えて生きるしかなかった。そのために獲得した力の一つが、トマトに含まれるリコピンなど、植物だけが持つ成分「ファイトケミカル」。それは活性酸素を消去して体の酸化を抑制、老化やガンを抑え、免疫力を上げるなど、ビタミンやミネラルと並んで、まさに生命力にかかわる栄養素です。

 動物は、植物が作った酸素のおかげで生かされ、エネルギー(炭水化物)さえも、元は植物からもらって生きていますが、さらに根源的な生命力までも、植物からいただいている。そう考えると、ご飯とお野菜さんが心からありがたくなってきませんか。

 でも、疑問はありますよね。ウサギはニンジンや草を食べ、牛も草だけで大きくなりますが、肉食動物のライオンは、肉ばっかり食べて、植物なんて食べてないじゃないか。そう思われるかもしれません。

 確かに、ライオンが草を食べているところは見たことがありません。でも、何らかの形で植物だけが持つ栄養を体の中に取り入れないと生きられない。だから彼らは、シマウマなど草食動物の狩りに成功したとき、肉の部分ではなく、消化中の青草が詰まった腸など、その内臓を真っ先に食べます。つまり、シマウマが食べて吸収できるようになったところをいただくのです。

 ライオンでさえ植物が必要なのに、雑食動物の人間がライオン以上に動物食過多になっていませんか。これでは生命力=植物パワー不足になって病気しやすいのは当然かもしれません。先週ご紹介したインフルエンザゼロの保育園では、園児たちが給食で、ご飯とお野菜を、とにかくたくさん食べているんです。

 でも野菜だったら何でもいいかといえば、そうではありません。育て方によって野菜の栄養価は変わるんです。詳しくは次週。 (「大地といのちの会」代表)

=2009/05/24付 西日本新聞朝刊=

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