2010年5月10日

【元気野菜de元気人間(吉田俊道)】<9>食べ方

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キャベツの芯もトマトの皮も丸ごと煮込んだ「野菜鍋」

皮と芯もいただこう

 先週紹介したカット済み野菜や外食の栄養流失の話は反響が大きかったです。「食材」には目が行っても、「食べ方」まではなかなか考えないからでしょうね。

 それ以前の問題として、食品の中に含まれる栄養素を調べた日本食品標準成分表の推移を見ると、旬を外れた野菜や、土作りが不十分なことなどから、野菜に含まれる栄養が激減。さらに野菜を食べる量も減り、調理法も生の野菜サラダなど、温野菜に比べて栄養吸収率の悪い食べ方をしています。

 総合して考えると、現代人が食事からとるビタミンやミネラル、ファイトケミカルの量は、昔と比べて、ひとけた以上低下しているのではないでしょうか。

 逆に、旬の露地野菜をみそ汁やスープの具、栄養を逃さない蒸し煮などにして、手作りすればいいのですが、さらに野菜のパワーを取り込む食べ方があります。それは、ふだん捨てることが多い、野菜の皮や生長点をできるだけいただくことです。

 皮は野菜が外敵から自分を守るためのバリアー。ですから特にビタミン、ミネラル、ファイトケミカルなどがたっぷり。新芽の部分や芯などにある生長点もまた、今まさに細胞を誕生させている成長促進因子が集中しています。

 この話は最近、多くの人々に受け入れられるようになってきました。私の周りにある外食産業でも、こうした皮や生長点の持つパワーを知り、メニューに取り入れる店が増えています。

 東京にある高級レストランの「野菜鍋」という料理には、皮つき野菜はもちろん、鍋の底にキャベツの大きな芯が入っていました。食べてみたら、葉っぱより芯の方がおいしいのです。野菜の中のミネラルなどのあくは、加熱によってうまみに変わると言われていますが、芯や皮などミネラルが多い部分ほど、うまみが増すのでしょうかね。

 熊本市に本店がある家庭料理のバイキングレストラン「ティア」は有機野菜をまるごと調理。福岡県久留米市の道の駅「くるめ」の中にある「ほとめき庵」は、玉ネギの皮を煮出してだしを取り、ニンジンの生長点(葉の付け根部分)や玉ネギの芯も食材として使うという徹底ぶりです。

 一手間かけた料理を出しているのですが、お客さんのなかには、手抜きと勘違いされる方もおられるそうです。でも、「食べた人を元気にするのが食に携わる者の使命。今より確実に健康になることを願って、あえて取り組んでいる」と、社長の白仁田裕二さんは言われていました。

 こんな料理を出すレストランや弁当屋さんがたくさん増えていってほしいものですね。
 (NPO法人「大地といのちの会」理事長)

=2009/07/12付 西日本新聞朝刊=

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