2010年5月10日

【元気野菜de元気人間(吉田俊道)】<10>新芽野菜

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屋上に設置した畑で新芽野菜を栽培する長崎リハビリテーション病院(長崎市)

生きる力を取り込む

 第7話で紹介したリビングファーム、やってますか? あれから3週間。もう生ごみはほとんど消えているはずです。私の自宅でも、全部菌ちゃんが食べて、白カビもほとんど見えなくなりましたが、土の中は菌ちゃんであふれています。

 土の香りも、最初は生ごみ臭がありましたが、もうほとんど消えました。菌ちゃんの浄化力、死から生を生み出す力を目の当たりにすると、思わず手を合わせたくなります。宮崎駿監督のアニメ「もののけ姫」には、生と死をつかさどる神様「しし神」が出てきますが、現実の世界でいえば、それは命から命を生み出す微生物のことだと思いますね。

 さて、生ごみを入れてから4週間。それから種をまき、新芽野菜として2―3週間以内に収穫するのであれば、生命力が最も旺盛な時期なので、本来の旬には関係なく、ほとんどの野菜の種が植えられます(その後の生育は別。ご注意を)。

 新芽野菜は特に栄養価が高いのですが、手間もかかる割に少量しかとれないので、市販品は高価。自分で育てて、伸びゆくいのちを鑑賞しながらいただいてください。

 また、新芽野菜でなくても、生長点パワーを取り込む方法があります。今ならば、トマトやピーマン、ナス、キュウリのわき芽がそれ。激しく細胞分裂する芽からは根の成長を促進させる成分が分泌されています。1株のキュウリのわき芽を一度に摘むと、キュウリ全体が一気に老化してしまうことがあるくらい、芽には成長促進成分があるんです。

 家庭菜園などでわき芽を摘んだら、あえ物や天ぷら、みそ汁の具にして、濃縮された生きる力をあなたの命の糧にしてくださいね。

 長崎市の長崎リハビリテーション病院では、病院の屋上に畑を設置。病院から出る生ごみを使って、新芽野菜作りを始めました。土作り、野菜作りの作業はそれ自体が楽しく、効果的なリハビリになっていますが、目的はそれだけではありません。

 患者さんの機能回復のためには、元気な細胞が生まれてこなければなりません。その源は、やはり食べ物から。だから激しく細胞分裂している新芽野菜を食べることが、その一助になるのではという関係者の思いがありました。

 プロの農家は、適期に適切な栽培管理ができるだけでなく、野菜自体の成長する力を高めるために土作りに力を注ぎます。それと同様に、最適なやり方で患者の機能訓練を支援するプロのリハビリスタッフも、体の内側にある「おなか畑(胃腸)の土作り」に力を注ぐというわけです。
 (NPO法人「大地といのちの会」理事長)

=2009/07/19付 西日本新聞朝刊=

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