2010年5月12日

【豊後水道 奮闘記(村松一也)】<6>最近漁業事情

わしの住んじょる漁師町も、世界同時不況と無縁じゃなかった=大分県佐伯市蒲江

世界不況 田舎も直撃

 きょうは漁業の置かれちょる現状です。

 わしら養殖漁業の使う漁船・作業船は、巻き網漁やイカ釣り、一本釣りなどの漁船漁業と同様、すべて軽油や重油といった化石燃料で動きます。昨年、その燃料が一気に、対前年比で倍以上に跳ね上がったため、漁業界は、大変な痛手を被りました。これは、ハウス栽培を行う農業も同じじゃったです。

 しかも、漁獲量は減少傾向だったのにもかかわらず、浜値(漁師の出荷単価)は下落。さらに養殖漁業は餌代や、鋼材などいけす用設備の材料高騰などもあり、まさにサンドバッグ状態だったんじゃ。

 餌料高騰の要因は、国内で餌用に回されていた小型サバやサンマなどの冷凍魚が、中国やアフリカに輸出されたり、南米から輸入される魚粉と魚油が中国の水産・畜産と競合したりしたことなど。鋼材もまた、中国のオリンピック特需などによるものでした。

 そして、やってきちょんが、昨秋のサブプライムローン破綻(はたん)などを発端にした世界同時不況。餌とか鋼材とかはともかく、「世界同時不況? かんけーねえじゃろ」っち高をくくっちょったら、なんとその影響はドミノ倒しのように大分県の南のはずれの田舎漁師にまで及んできたんです。

 発端は、韓国のウォンが日本円に対して4割ほど安うなったことじゃった。まず韓国向けに輸出しよった大分県産太刀魚や国産養殖マダイなどの輸出が止まり、国内流通向けに回った。さらにウォン安で、韓国から輸入されよった養殖ヒラメが半値で入るようになった結果、輸入量が30%ほど増え、魚の価格が暴落してしまったんじゃ。

 わが町蒲江は小さな漁業主体の町だけに、こげな事態が起こると本当におおごと。例えばヒラメは養殖生産量日本一なんじゃが、この影響でヒラメ養殖の仲間が1割ほど、廃業に追い込まれてしもうた。わしらのような田舎でも、世界の情勢が変わるとこげーなるんか、と本当にビックリしちょるところです。

 産地では、厳しい状況の中で、家族が必死になって働いちょる。なのにこの数年、わしが営業や消費者交流会などに出かけ、売り場をのぞくたびに聞こえてくるんが、「なんで、こんなに魚が高くなっちょるん?」「魚って高いわね」「高くておいしくない」ちゅう消費者の声。こんなことじゃから「魚離れ」が進むんじゃっち思っちょった。

 そこで、わしは自ら魚を加工して、直接消費者に買ってもらおうと考え、2005年、地元の若手漁師10人と、加工会社「かまえ直送活(い)き粋(いき)船団」をつくったんです。ところが、いざやってみると、これがどうして苦難の始まりじゃった。苦労話は、こん次じゃー。
(「かまえ直送活き粋船団」代表)

=2009/09/20付 西日本新聞朝刊=

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