2010年5月12日

【豊後水道 奮闘記(村松一也)】<11>愉快な仲間たち(2)

東九州伊勢えび海道のポスター

「伊勢えび海道」成功

 伊勢エビがとれる漁師町の大分県蒲江町と宮崎県北浦町が9―11月、伊勢エビ料理で観光客をもてなそうと始まった「東九州伊勢えび海道」。今ではすっかり名物イベントになって、お互い市町村合併で佐伯市と延岡市になった後も、仲良く続けちょります。

 ただ当時は、町の中で観光客は邪魔者っちゅう雰囲気じゃったし、「何で、同じ大分県の町村とやらんの」と言う県の行政マンもおったくらいで、動き自体は、あんまり歓迎されちょるふうではなかったです。

 でも、地図の上には境界線があっても、地面には何もない。マスコミの人たちから見たら、県を越えてのイベントは斬新じゃったんでしょう。スタートすると九州はもちろん、日本全国から取材が殺到。宣伝効果は大したもんでした。

 観光客からは「蒲江で伊勢エビが捕れるん?」っち不思議がられたもんじゃが、それまで三重県に「輸出」しよった伊勢エビも地元での消費が増えました。よそに運ぶ出荷経費も減って手取りが増え、伊勢エビを捕る刺し網漁師の経営も、少しずつじゃけど、安定してきたんじゃ。

 地域おこしは、観光だけでなく地元の産業に経済効果が出らんと、地域全体でお客さんをおもてなしする機運が高まりません。それからすると、この取り組みは成功事例の一つに数えてもいいのかもしれんです。

 それからです。蒲江のあちこちで「観光だけでお客さんに来ちもらっても、地域に落ちる金は知れちょる。今後は、観光と地域の産業の両方で町おこしせんといけんのう」。そんな前向きの声が上がり始めたのは。

 それを具体化しようと、2007年に始めたんが、シーカヤックや緋扇貝(ひおうぎがい)キャンドル作り、ウニ割り、伊勢エビさばき、真珠の核入れ、魚釣り、定置網、ブリ養殖と熱めし作りなど11の講座を用意して、観光客が地元の産業に触れ、より深く蒲江を知ってもらう体験型観光「あまべ渡世(とせい)大学」。わしらとしては、これからまだまだ蒲江の愉快な仲間を掘り起こし、都会の人たちに非日常を体験してもらう機会を増やして、漁師としてここに住み続けるための方策の一つとして定着させたいんです。

 そんなこんなで大分県の最南端で、「陸の孤島」と呼ばれてきた蒲江も、昨年の東九州道の佐伯インター供用開始で大分市内をはじめ福岡、北九州、熊本など遠方からの来町者が急増しました。「道の駅かまえ」なんか、休日ともなれば海鮮丼に2時間待ちの状態。活(い)き粋(いき)船団の商品も、道の駅では対前年比200%ほどの売り上げ増で、地元はうれしい悲鳴状態なんじゃけど、こげなときだからこその不安材料が、ないわけじゃない。そこら辺については、また次回。
(「かまえ直送活き粋船団」代表)

=2009/10/25付 西日本新聞朝刊=

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