西日本新聞

2009年11月25日

【ふくおかマルシェ連載】マチとムラ 心をつなぐ<3>宇佐本百姓(大分県宇佐市) 手間と苦労が実りに

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■マルシェ・ジャポン フクオカ■

 「無農薬で作りたいのが農家の本音。でもそれでは作物はできないという先入観や、草取りの重労働はとても…と皆さん二の足を踏むんです」

 深見壽孝さん(37)は大分県宇佐市で、6年前から一切の農薬と有機・化学肥料を使わずに米を作る。土に混ぜ込むのはそこで刈った稲ワラだけ。8ヘクタールの水田からスタートし、今では周辺に住む16人の農業者とともに計26ヘクタールで栽培している。

 深見さんは大学院修了後、コンピューターシステムの会社に就職したが2003年に実家に帰った。「もっと自分が主体的にできる仕事はないか」との思いや、兼業農家だった両親が米の無農薬栽培に取り組み始めたことに触発されたのだ。

 農家は土地を守るために作物を作り続ける。だが家族の高齢化がそれを阻む。収益も農薬や肥料代などに消え、残るのはわずか。何より農薬散布の作業は苦痛を伴う。

 帰郷した深見さんは当初、新規就農者への公的融資や支援に期待した。だがそれは農協の生産システムに乗り、減反に協力することが前提だった。方針を貫く深見さんに農協は融資を認めない。しかも流通に必要なさまざまな費用負担や、ネズミ駆除の薬剤を散布しない倉庫など自前で確保しなければならなかった。

 加えて、稲作は草に悩まされた。田一面に生える草はすぐに手で抜けなくなり、かまで刈った。夏の炎天下でも毎日「気力で草取りを続けた」。

 もみ種はよく選別し、湯で消毒するなど育苗には注意を払った。3年を経ると除草の手間が減り、収量が増え始めた。収穫したヒノヒカリは食味が良く、価格が高くてもアトピーを持つ子どもの親に支持されるなどネットなどから少しずつ販路が広がった。

 「産物に付加価値を与え、農家が相応の収入を得るようにならねば後継者は育たない。高齢者が安心して住める農村づくりも不可欠」と語る深見さん。有限会社化に際し「宇佐本百姓」と名付けたのは、そんな農家としての自負と責任からだ。

 (情報開発室・宇田懐)

【写真】収穫した新米を前に(左から)「宇佐本百姓」の深見壽孝さんと妻の有希子さん、金丸宏倫さん、弟の深見精二さん

=2009/11/25付 西日本新聞朝刊=

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 ▼青空市場「ふくおかマルシェ」 来年3月28日まで随時開催。福岡市東区のアイランドシティ中央公園と、同市中央区の市役所ふれあい広場。西日本新聞社主催。宇佐本百姓=0978(33)3265。開催日時など問い合わせは、マルシェ事務局=092(711)5492。

ふくおかマルシェホームページ http://www.nishinippon.co.jp/jigyou/marche/

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