西日本新聞

2006年10月11日

食卓の向こう側シンポin鹿児島<下>生ごみでつながる地域 岩崎信幸さん

 ●「横尾西部自治会」(長崎市) 岩崎 信幸さん

 生ごみリサイクルによる野菜づくりをきっかけに近所付き合いが始まり、人と人とがつながった。「食卓の向こう側シンポin鹿児島」では、長崎市横尾西部自治会の岩崎信幸さんが、そんな生ごみを通じたコミュニティーづくりを報告した。

 ■会話が生まれた 

 横尾西部自治会は480世帯。その1割が、生ごみリサイクル野菜作りに参加している。

 私は以前からやっていたのだが、あるとき自治会長が「大地といのちの会」の吉田俊道さんの話を聞いたのがきっかけで、うちでもやりたいと考え、経験者の私に声をかけてきたのだった。

 チラシを作り、回覧板で回すと、興味を持った人が集まった。特に、男性が多かったのにはびっくり。ちょうどうちの団地は、年齢的に定年を迎えた人が多く、このままでは自分自身が粗大ごみになってしまうという感じだったらしい。

 農地は長崎県住宅供給公社が放置していた「塩漬け用地」を借りたが、岩ばっかり。「客土しない限りここでは無理」と言われたが、みんなで協力して岩を除き、畑にした。

 でも、そうした困難を一緒に汗をかいて克服したおかげで、仲間の結束は固まった。公務員や転勤族が多く、あまり会話のない自治会だったが、連帯感が出て、何か手がほしいときに声をかけると、みんながさっと集まるようになった。

 ■学校にも協力

 先日の台風13号でも草は草、木は木で分けて堆肥(たいひ)にしたから、焼却ごみは一切出していない。保育園の生ごみも回収して、畑に入れている。

 また、今までは子どもが学校を卒業すると、もう学校には寄り付かず、無関係になっていたが、自治会として小学校にも教えに行くようにした。小学校の校長先生からは「われわれは5、6年で転勤してしまう。畑のことは、地域住民にお任せしたい」と言われるようになった。

 最初からこんなになるとは思っていなかった。一人でやるより二人。仲間でやると楽しいし楽。昔は「雨が降らなければよかった」と言っていたのが、「雨がほしかねえ」というように、会話が都市の会話でなくなってきて、夕方になると、喜々として畑に向かう姿が目立つ。生ごみリサイクル元気野菜づくりは、都市型住民が家庭菜園をやるのにぴったりの取り組み。ぜひ、鹿児島でも取り組んでみてください。

   ◇  ◇

 -会場から

 ▼志布志市環境政策課 人口約3万5000人の志布志市で、2004年度から生ごみの堆肥化を始めた。

 焼却処分場がなく、ごみの半分は生ごみだからという理由で取り組んだ。住民が水を切り、生ごみだけバケツに入れて出すというやり方で週3回回収。市内の小・中学校、保育園に堆肥を配り、喜ばれている。

 処理量は月平均で28トンほど。なによりごみが宝物になるし、ものを大切にする、人を大切にするということにつながっていく。ほかの市町村もやれば、無駄な化石燃料も使わずに済む。教育も大事だし、これからはこうした総合的な政策が大事だな、と考えている。

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