
悪質商法の電話相談に応じる相談員=東京都港区の国民生活センター
高齢者を狙った、訪問販売などの悪質商法による被害が後を絶たない。1人暮らしにつけ込んで甘い言葉で近づき、布団や健康食品などの商品を高額で売り付けるケースが目立つ。各地の消費生活センターや自治体などは、周辺関係者と協力して「見守り」の態勢を築き、地域ぐるみでトラブル防止に努めている。
全国の消費生活センターなどに高齢者から寄せられる相談件数は年々増加。国民生活センターのまとめによると、70歳以上では、2001年度が5万6915件だったのが、03年度は9万9033件に急増、06年度は13万3542件に上った。
同センター情報分析部は「閉め切った会場にお年寄りを集め、日用品などをただで配って安心させた後、最終的に高額商品を契約させる催眠商法が横行している。商品は布団、健康食品、宝くじなど、高齢者好みのものが多く、1人が次々と同じような被害に遭うケースも多い」と、被害の実態を説明する。
「1人住まいや、外に出られない人の被害が多い。周りの人がおかしいなと思ったら、すぐに相談してほしい」。各地で相談会を実施している全国消費生活相談員協会の下谷内冨士子理事長は、こう呼び掛ける。
同協会などは、06年8月から高齢者の家族や周辺関係者に、パソコンや携帯電話で悪質商法の具体的な発生情報を伝え、アドバイスする「見守り新鮮情報」を発信している。一過性でなく、各地に波及しそうな事例をピックアップし、毎月2回程度メール送信。受信の登録者数は4月下旬の段階で1万8000人を超えている。
例えば、「野菜を無料配布中」の宣伝文句に誘われて会場に出向き、高額商品を購入させられた事例では、「無料」「格安」の言葉を信じて安易に会場に近づかないよう助言。テレビの電波レベル測定検査を受け、ケーブルテレビを契約させられたケースでは、その場で慌てて契約せず、周りの人に相談するよう呼び掛けている。
1人暮らしの高齢者が多い都市部は、被害がより深刻だ。「1人暮らしは被害に遭っても通報しないとみられがちで、狙われやすい」。東京都新宿区の担当者は、被害の拡大に頭を悩ませる。
同区は介護や訪問看護施設などを中心にネットワークを形成。高齢者宅を訪れるヘルパーや看護師が本人の承諾を得た上で、気付いたことを通報するシステムを構築、効果を上げている。同区の担当者は「高齢者を見守る人を増やしていきたい」と話す。
下谷内理事長は「お年寄りを地域で見守ることが大切。地域の皆さんと一緒に悪質業者を撃退したい」と強調している。
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