
台湾からの「投資移民」を協議する「シニア・ジョブ」のメンバー=東京都
経験豊富な「ご隠居」ならではの仕事と生活を紹介する本が今月、出版される。タイトルは「ご隠居の底力」(徳間書店)。筆者は、中高年の再就職や起業の後押しする民間非営利団体(NPO)「シニア・ジョブ」(東京都新宿区)のメンバーたちである。
シニア・ジョブは、50-60歳代の資格を持つ自営業者や企業OBらを中心に約30人が活動している。「ご隠居の底力」は、「ご隠居層に夢と希望を与えるヒント」をコンセプトに、シニア・ジョブのメンバーが中高年世代に向けて執筆した。ご隠居は肩身の狭い思いをする必要はなく、専門知識や経験を社会に還元すべきだなどと訴える。
ただし、力が入り過ぎるのもだめで、シニア・ジョブ理事で執筆者の1人、沢藤鉄哉さん(62)は「年を取れば四六時中働けないのは当然で、『半働半遊』ぐらいがちょうどいい」と語る。そんな思いを表現するため、「高齢者」でも「老人」でも「シニア」でもなく、ほほ笑ましい語感がある「ご隠居」を選んだという。

「ご隠居の底力」(徳間書店)
本の前半は、シニア自らが起業した成功例や、世界の現代ご隠居事情を紹介。後半は、シニア・ジョブが取り組んできた海外の投資家が日本で起業する「投資移民」を促す事業などを取り上げている。
中でも投資移民は今後の活動の目玉に位置付ける。7月には、その橋渡し役を担う会社「ウエルカム・ツー・ジャパン(WTJ)」を設立。出資者や役員は、元国際ビジネスマンや行政書士、IT(情報技術)コンサルタントら、シニア・ジョブのメンバー。日本で事業を起こすため、移住したいと考えている外国人を後押しする。
最初のターゲットは、カナダやオーストラリアなどに投資移民の実績のある台湾に決めた。「日本でもうけようというのではなく、ビジネスモデルを持って帰りたいと考える中小企業主が台湾には多い」と沢藤さん。特に地方での起業を促し、日本の農産物を輸出する会社などで人脈もスキルもある企業OBらを雇ってもらえば、地方の活性化にもつながるともくろむ。
8月には、台湾の移民仲介会社団体の責任者を招いた。台湾側は、地価の安くなった日本の地方への進出に意欲的で、能力のある中高年の雇用にも関心を示した。
今後は台湾で説明会を開き、10月までに視察に来る最初の10人を選ぶ。成功すれば将来は他の国にも広げたいと夢は膨らむ。
=2008/09/17付 西日本新聞朝刊=