新築で購入した住宅に欠陥があった場合、購入者が費用を負担せず必要な補修をできるように保証する住宅瑕疵(かし)担保履行法が今月、施行された。新築の一戸建て住宅やマンションの売り主などに、10年間を“保証期間”として、補修に備えた資力の確保義務を定めている。売り主が倒産した場合でも、購入者が保護される仕組みだ。 (畑中知子)
制定の背景には、2005年に発覚した耐震強度偽装事件がある。耐震強度不足で、大規模な改修を必要とするマンションなどが見つかった。2000年に施行されていた住宅品質確保法(品確法)によると、売り主が責任を負い、必要な補修をしなければならない。しかし、事件に関連してマンション販売会社が倒産。実際には購入者が費用負担する事態が生じた。
新法は、今年10月1日以降に引き渡される新築住宅が対象で、建設業者や宅地建物取引業者に、補修費用に備えて保険加入か保証金の供託を義務付けた。期間は10年間で、基礎や柱など構造上主要な部分と雨水の浸入を防ぐ部分の瑕疵に限る。品確法に定められた瑕疵責任について、資力の裏付けをした形だ。
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これまで、販売業者が倒産すれば、欠陥住宅の購入者は泣き寝入りすることが少なくなかった。
ゼネコンに自宅兼事務所(鉄筋コンクリート3階建て)を発注した司法書士、高津行弘さん(61)=愛知県稲沢市=もその一人。03年9月に着工したが、工事途中に壁のひびなど300以上の補修個所があることが発覚。業者に補修を求めたが、04年夏に工事は中断。その後、補修などを巡って裁判闘争に入ったが、05年に業者が倒産してしまった。結果、購入代金の一部として払った約2700万円は返納されず、多数の補修個所を抱えた、住めない「廃虚」だけが残った。
約5年間、雨ざらしだった建物は取り壊して再度新築する予定だが、解体には約600万円が必要という。高津さんは「契約段階で、自分が欠陥住宅に当たるとは思ってもみなかった。いくら知識を集めても、購入者の力だけで被害を防ぐのは難しい」と振り返る。
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新法ではどのように購入者が保護されるのか。資力確保の方法は二つ。一つは過去10年間に販売した戸数に応じ、保証金を法務局などに預ける供託。例えば1万戸の販売実績がある場合は4億4千万円となる。
もう一つは保険で、国が指定する住宅瑕疵担保責任保険法人に業者が保険料を支払う仕組み=イラスト参照。一戸建て住宅(床面積120平方メートル)で10万円程度。販売価格に反映される場合が多い。
瑕疵があれば業者が補修を行い、保険金として補修費用に加え調査や仮住居に必要な費用の8割以上が支払われる。業者の倒産時には購入者に直接、保険金が支払われる。着工前に保険契約が行われ、保険会社の建築士などが複数回、現場検査を行うことも、購入者の安心につながる。
欠陥住宅問題に取り組む幸田雅弘弁護士(福岡市)によると、欠陥住宅に関する訴訟では主に、欠陥の有無と補修の方法や必要性が争点となってきた。業者に資力がない場合に、「欠陥を認めない傾向にあった」と語る。新法では、瑕疵の判断に保険会社の基準が用いられるため「紛争の種の多くが解消される」として、「新法が定着すれば、(欠陥住宅に関する紛争で)相当のロスが回避できる」と期待している。
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=2009/10/29付 西日本新聞朝刊=