●出版2年 全国から手紙 歌手河口恭吾さん 楽曲に
末期がんで2008年2月に36歳で亡くなったテレニン晃子さん=福岡県小郡市=が、がんの痛みや不安と闘いながら、娘の柚莉亜(ゆりあ)ちゃん(3つ)への思いをまとめた本「ゆりちかへ ママからの伝言」への反響が、出版から2年たった今も続いている。今月11日には、ヒット曲「桜」などで知られる歌手の河口恭吾さんがこの本を題材にした楽曲を発売するなど、共感の輪が広がっている。

テレニン晃子さんの本を題材にした新曲「キミに残す手紙」を作った歌手の河口恭吾さん
テレニンさんに脊椎(せきつい)部のがんが見つかったのは、柚莉亜ちゃんがおなかにいる05年。出産後から娘へのメッセージを書き始めた。本にして娘に伝えたいという思いと経緯は、本紙生活面で07年夏に連載で紹介。本はその年の10月に出版された。
本では、おしゃれや恋など、大きくなった娘を思い浮かべながら、話し掛けるようにつづっている伝言部分と、痛みや死への不安を吐露した闘病の記録で構成されている。娘への限りない愛情や、痛みと闘いながら希望を抱いて生きる姿は、多くの読者の共感を呼び、本は7万部を突破。出版元の書肆(しょし)侃侃(かんかん)房(ぼう)(福岡市)には、全国から100通を超える手紙や読者カードが寄せられている。

テレニン晃子さんが娘につづった「ゆりちかへ ママからの伝言」
「命や家族の大切さ、いろいろなことの重さやありがたみをあらためて知ることができました」(東京都の女子中学生)
「命を守る立場として、医療が進歩して大切な人を亡くさない、そんな日が早く実現できるよう努力していきます」(新潟県五泉市の男性看護師)
「ゆりあちゃんはこの本を読むたびにおかあさんの愛を感じるのでしょうね。私も愛をたくさん娘に注ごうと思いました」(名古屋市の主婦)
河口恭吾さんも感銘を受けた一人。特にこの一文に心が動いたという。
〈ママはあなたといっしょに生きることができないみたいです。どうして、あなたを残して死なないといけないのか。そんな! ママは死にたくないです、死にたくないです〉
「何の比喩(ひゆ)もないんだけど心に響いた。それが曲を作ろうと思った一番大きなきっかけです」。テレニンさんから柚莉亜ちゃんにあてた手紙という形式をとった曲「キミに残す手紙」をつくり、多分野で活躍する女性をテーマにしたアルバム「WOMANING」に収録した。「本から受け取ったテレニンさんの娘への思いを代弁させてもらった」
テレニンさんは生前、「誰かが本を手に取って柚莉亜に手紙をくれるかも。そんなことを考えると楽しい」と語った。1冊に込めた思いは確実に広がっている。
本の問い合わせは書肆侃侃房=092(735)2802。
× ×
●こちら取材班
国内の貧困解決に向けた取り組みに関する情報をお寄せ下さい。「経済的困窮から高校を退学した」「派遣切りに遭った後、正社員として再就職できた」などの体験談も募集しています。
× ×
▼投稿・情報・ご意見は→西日本新聞文化部生活班
〒810─8721(住所不要)FAX 092(711)6243
電子メール bunka@nishinippon.co.jp
=2009/11/07付 西日本新聞朝刊=