
ファミリーホームの意義などについて語るパネリスト。(左から)土井高徳さん、古賀信敞さん、天久真理さん、佐藤哲造さん、廣野隼平さん
今年4月施行の改正児童福祉法で制度化された小規模住居型養育事業(ファミリーホーム)に関するシンポジウムが14日、福岡市・天神であった。ホームの運営などに携わるパネリスト5人が、虐待や育児放棄など、さまざまな理由で家庭生活を奪われた子どもたちを、より家庭的な環境で養育するファミリーホームの意義や課題について語り合った。
ファミリーホームは里親制度から発展的に生まれた事業で、養育者の住宅で5-6人の子どもを養育する。
児童養護施設に勤務した経験を持つ廣野隼平さんは、既存の施設養護と比べて、「普段のコミュニケーションから、子どもの状況が把握しやすくなった」と語った。きめ細かい個別ケアは、家庭的雰囲気を持つ小規模なホームならではという。
トラウマ(心的外傷)を抱える子や、発達障害などのハンディキャップを負う子が少なくないというホームの現状を説明した天久真理さんも、問題行動が目立つ子どもを粘り強く指導して改善できた事例を紹介、「どんな子も素晴らしい能力を持っている。時間と手と励ましさえあれば必ず伸びる」と力強く語った。
年齢が異なる複数の子どもが同居するホームの効用を説いたのは、本紙生活面で「土井ホームの子どもたち」を連載(隔週土曜日)している土井高徳さん。「(受け入れ人数が)4人までの里親より人数が多い分、養育者と子どもという縦の関係だけでなく、子ども同士がはぐくみ、支え合う横の関係性を生かすことができる」
パネリストからは、ホームが抱える運営上の問題や不安点に関する意見も出た。
「子どもと親密な関係ができるということは、同時に密室による虐待の再演もあり得る」「家庭的な環境になる分、外部の目が届かない」。児童養護施設の勤務を経てホームを運営している佐藤哲造さんも「透明性の確保が課題」と認め、「ホームは施設より閉鎖的になるので、1カ月に1回、外部の人に面接に来てもらうなど、風通しを良くしようとしている」と自ら取り組んでいる対策を紹介した。
施設や里親の急激な増加が見込めない状況で、家庭的な環境のもとで兄弟姉妹のように暮らすことのできるファミリーホームは、新たな受け皿として期待されている。だが、運営者の自助努力だけでは限界もある。
来年4月、里親制度を活用して5軒の家で専門家や地域の人たちと子どもを育てる「子どもの村福岡」を開設する古賀信敞さんは、「自治体も運営基盤の確保や、ファミリーホーム整備を進める必要がある」と行政による支援拡充を訴えた。
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▼土井高徳さん 北九州市のファミリーホーム「土井ホーム」代表。
▼古賀信敞さん 特定非営利活動法人(NPO法人)「子どもの村福岡」村長。
▼天久真理さん 2008年8月から福岡市でファミリーホームを運営。
▼佐藤哲造さん 大分県由布市で今年7月からファミリーホーム「佐藤ホーム」を運営。
▼廣野隼平さん 熊本市の地域小規模児童養護施設「コスモスホーム」勤務。
=2009/11/21付 西日本新聞朝刊=