
城南団地の公民館で開かれた朝市。大勢の住民でにぎわう=11月17日午前、大分市永興
郊外型大規模ショッピングセンターの進出などに伴い、商店街やスーパーが閉店、高齢者が日常の買い物にも困る地域が各地に生まれている。「買い物難民」と呼ばれるこうした人々を支援しようと、住民と行政、商店主が連携して対策に乗り出した地域を訪ねた。買い物難民救出作戦。さてその成果は?
山積みされた野菜や卵、トイレットペーパーなどの日用品があっという間に売れていく。大分市中心部から約6キロ南に位置する城南団地(同市永興)で、毎月第3火曜日に開かれている朝市。市が今年7月から業者に委託し、実施している。
昨年2月に地場スーパーが撤退して以降、団地内から商店が消えた。最寄りのスーパーまで約2キロ。買い物にバスやタクシーを使うという77歳の女性は「タクシーだと800円以上かかる。近くで買い物できるのは本当にありがたい」と笑顔をみせると、大きなハクサイやキャベツを入れた買い物袋二つを両手に持って会場を後にした。
大分市が新産業都市の指定を受けた1964年以降、臨海工業地帯に続々と工場が進出。人口増加に対応するため、大型団地の造成が進んだ。入居したのは働き盛りの30―40代。団地造成の草分けだった城南団地も住民の高齢化が進み、5人に1人が65歳以上となっている。
朝市の開催は今のところ月1回。生活を支えるには不十分で、団地住民は日常的に買い出しに行かざるを得ない。
城南団地は丘陵地にあり、帰路は上り坂がきつい。ぱんぱんに膨らんだリュックサックを背負った高齢者が、バスから降りる姿が目立つ。
同団地南町の岡村晰(あきら)・町内会長(71)は嘆く。「まるで戦時中の買い出しのようですよ。環境の変化に、高齢者だけが置き去りにされている」
大分市は城南団地以外に、日常的な買い物に苦労している市内5団地でも月1回、朝市を開いている。各団地で毎回、高齢者を中心に多い時は100人を超え、15分程度で完売することもある。残る課題は開催の頻度を上げることと継続性だ。
市は本年度、委託事業費として約1600万円を計上。だが、同程度の事業費負担は国の補助金が得られる2011年度まで。将来の青写真は描ききれていない。
同市産業振興課の重松勝也課長補佐は「朝市を維持、発展させるには、絶対必要という住民の熱意が欠かせない。この3年間は住民と行政が地域の将来を考え、行動する猶予期間」と語る。会場設営や開催告知に自治会が加わり、住民が販売を手伝うようになった団地もある。自ら生活の安心を守るための模索が始まっている。
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●郊外店増、弱者置き去り
中心市街地の個人商店やスーパーが閉店、撤退するケースが増えている。全国の商店街振興組合で構成する「全国商店街振興組合連合会」によると、同連合会に加盟する商店街の店舗数は、今年3月末時点で11万961店。ピーク時の1997年から、約4万2千店減少した。背景には郊外型大型店の増加、住宅団地の高齢化に伴う購買力の低下などがあるという。
長引く消費不振の影響で、大手スーパーなど流通各社でも、新規出店の抑制傾向が強まっている。経済産業省によると、自治体に届け出た大型店の新規出店計画の件数は、2008年度が651件。前年度比13%減少で、最大の減少率となっている。スーパーの不採算店の閉鎖もあり、高齢者や障害者など「交通弱者」が近隣で生活必需品を買えない「買い物難民」問題が生じている。
行政も大きな課題とみて対応を始めている。大分市が朝市を始めたほか、佐賀市は今年9月から、市中心部で生鮮食料品などを扱う商店の空白地域の実態調査を始め、本年度中に移動販売などの実施を目指している。
=2009/12/12付 西日本新聞朝刊=