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人は少なくても、町のお年寄りは「孤独でない」と言うし、死ぬまでここで暮らしたいと思っている。親が留守なら近所で子どもを世話するなど地域ぐるみで子育てをしている。町の「地域力」は落ちていないと実感している。人口減による地域の崩壊が懸念されているが、気に病むより、住民が地域を愛し、生き生きと暮らせるかが大事だ。
1人の女性が生涯に産む子どもの推定数「合計特殊出生率」は、人口維持には2.07を上回ることが必要とされる。1983年以降、5年ごとの統計で、五ケ瀬町はこれを上回り続けているという。
町民には、「自らの手で地域をつくる」という参加意識がある。町の長期総合計画づくりがきっかけになった。「外部コンサルタントに頼み、本棚に並べるプランはいらない」と、職員が町内を歩き、住民と共同でつくった。地域の宝を掘り起こし、どうすればここが良くなるか課題を見つけた。役場がやること、地域、個人が行うことの役割分担を提案してもらい、汗も流してもらった。難しいことはしなくても地域特性を生かした個性的なまちづくりはできる。
住民発案の分担表を入れ、職員がワープロを打ったプランを99年度から2年間で策定。「住民の責任」を自覚してもらおうと全戸に配布された。
住民の自助努力に期待する一方、地方自治体には暮らしを守る役目がある。町唯一の医療機関である町立病院は経営が厳しくとも、効率化だけで切り捨てられない。そのためにも、地方交付税制度による一定の財源保障は必要。「交付税があるから地方が甘える」という意見があるが、自主財源が乏しく交付税が圧倒的な割合を占める中山間地の事情も分かってほしい。
国・地方財政の三位一体改革で、国税から地方税へ3兆円が移譲される一方、地方交付税は5兆1000億円削減されている。
人口減は止めようがない。ただ、極端な右肩下がりにならないように交流人口を増やしたい。高齢者には元気に暮らして、地域づくりを手助けしてもらいたい。農作業に忙しい若手に代わり、高齢者が農家民泊で交流の担い手になることもできる。人を呼び込むには雇用の確保が課題で、それには農林業に力がないと。価格下落で林業では食えず、山の手入れが滞り少しの雨でも災害が起きるようになった。少ない人口で環境を守っていることを理解してほしい。それをやたら国、県に求めるのでなく、自分たちでしっかり訴えたいと10月、全国源流シンポジウムを開く。下流域の都市住民と問題を共有したい。
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▼いいほし・たつみ 1956年、五ケ瀬町生まれ。下関市立大学卒。78年に町役場に入り、町立病院、企画商工課長などを経て2002年5月から現職。九州の中央に位置する人口4867人(7月末)の町のトップとして2期目。
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アカガシの巨木があった。役場は看板を、住民は周辺の整備を分担し、注目を集めるようになった。五ケ瀬町で最も小さな行政区が一気に活気づいた。地元では近くの山の遊歩道までつくり、隣町と県境交流を始めた-。「お金はなくとも、知恵とやる気でできることがある」。飯干氏の言葉に、厳しい環境を嘆くのでなく、前進する人々の力を感じた。 (木)
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=2007/08/29付 西日本新聞朝刊=
