東国原英夫知事の一言に、会場がどよめいた。「衆院解散、総選挙になった折には、また先生にバッジを着けていただきたい」
7日、宮崎市のホテルで自民党の中山成彬衆院議員(64)=宮崎1区=が開いた賀詞交換会。「脱しがらみ」を掲げて宮崎県知事選を戦った東国原知事が、自民支持に宗旨変えしたのか-。そんな驚きが広がった。
■軸足「自民」に
東国原知事の政治カラーは「無色透明」。知事選では「政争、党利党略には一切コミットしない」と訴え、自民票を奪い合う官僚出身2候補を「保守同士の権力争い」と切り捨てた。
統一地方選、参院選でも中立を堅持。参院選当時首相だった安倍晋三前自民党総裁が多忙な遊説日程をやりくりしてわざわざJR宮崎駅を訪問、東国原知事に支援要請しても動かなかった。それがなぜ、中山氏に「エール」なのか。
「与党の政策を支持することが宮崎の浮揚にとって現実的だから。民主党が『宮崎の高速道路をあと5年で通す』と言えば絶対支持しますよ」
知事は翌日、発言の真意をこう説明したが、大方の県政関係者は「自民に軸足を移す腹を固めた」とみる。
■小泉劇場ばり
抵抗勢力を仕立て、対決姿勢をアピールするのは小泉純一郎元首相の得意技。年500件以上の取材をこなす東国原知事も、メディアを舞台に同じ手法を多用してきた。知事の「抵抗勢力」は、既成政党に限らない。
「一括方式の質疑より、一問一答にした方が良いのでは」。昨年2月、最初の県議会で逆質問。質問方式に異議を唱えた。一方、県政記者クラブには「定例記者会見って必要ですか」と挑発してみせた。
昨年10月には、市町村合併に反対する町長相手に「『私の目の黒いうちは合併しない』と言っていたが、いつまで黒いんですかね」と失言も。無用の摩擦を生んでまで、自己主張を通した。
しかし昨年末ごろから、かつての鋭角的な姿勢が次第に影を潜める。一問一答で丁々発止のやりとりが期待された11月の県議会。予想に反して答弁を棒読みする姿には、対決を避けているような印象が漂った。
■「面従腹背」で
実は、賀詞交換会で知事が見せた「変化」の予兆は、2週間前に同じホテルで開かれた講演会の発言にあった。
「国に依存しながら地方は分権と言っている。中央に対しては面従腹背でいかないと、やっていけない」
渓谷沿いに県央を横断する米良街道。太平洋に面したがけを走る日南フェニックスロード。ともに国道だが、3年前の台風の影響などで今も片側通行を強いられる。県内の国県道改良率63.8%は全国38位。九州・沖縄8県で最低だ。
「道路維持を国に頼らざるを得ない実情を、知事もこの1年で目の当たりにしてきた」。県幹部は、知事の発言の背景をこう解説する。
2月15日、道路特定財源の暫定税率延長を求める総決起大会が宮崎市である。暫定税率廃止に伴う県の減収は約330億円。道路整備事業費の約4割に当たる。
「宮崎の道路事情を考えたらどうしても自民を選ぶ。それが賢い知事というものだ」とベテラン自民県議。総決起大会で東国原知事は、地元選出自民党国会議員とひな壇に並ぶ予定だ。
(この連載は宮崎総局・郷達也が担当しました)
=2008/01/24付 西日本新聞朝刊=
7日、宮崎市のホテルで自民党の中山成彬衆院議員(64)=宮崎1区=が開いた賀詞交換会。「脱しがらみ」を掲げて宮崎県知事選を戦った東国原知事が、自民支持に宗旨変えしたのか-。そんな驚きが広がった。
■軸足「自民」に
東国原知事の政治カラーは「無色透明」。知事選では「政争、党利党略には一切コミットしない」と訴え、自民票を奪い合う官僚出身2候補を「保守同士の権力争い」と切り捨てた。
統一地方選、参院選でも中立を堅持。参院選当時首相だった安倍晋三前自民党総裁が多忙な遊説日程をやりくりしてわざわざJR宮崎駅を訪問、東国原知事に支援要請しても動かなかった。それがなぜ、中山氏に「エール」なのか。
「与党の政策を支持することが宮崎の浮揚にとって現実的だから。民主党が『宮崎の高速道路をあと5年で通す』と言えば絶対支持しますよ」
知事は翌日、発言の真意をこう説明したが、大方の県政関係者は「自民に軸足を移す腹を固めた」とみる。
■小泉劇場ばり
抵抗勢力を仕立て、対決姿勢をアピールするのは小泉純一郎元首相の得意技。年500件以上の取材をこなす東国原知事も、メディアを舞台に同じ手法を多用してきた。知事の「抵抗勢力」は、既成政党に限らない。
「一括方式の質疑より、一問一答にした方が良いのでは」。昨年2月、最初の県議会で逆質問。質問方式に異議を唱えた。一方、県政記者クラブには「定例記者会見って必要ですか」と挑発してみせた。
昨年10月には、市町村合併に反対する町長相手に「『私の目の黒いうちは合併しない』と言っていたが、いつまで黒いんですかね」と失言も。無用の摩擦を生んでまで、自己主張を通した。
しかし昨年末ごろから、かつての鋭角的な姿勢が次第に影を潜める。一問一答で丁々発止のやりとりが期待された11月の県議会。予想に反して答弁を棒読みする姿には、対決を避けているような印象が漂った。
■「面従腹背」で
実は、賀詞交換会で知事が見せた「変化」の予兆は、2週間前に同じホテルで開かれた講演会の発言にあった。
「国に依存しながら地方は分権と言っている。中央に対しては面従腹背でいかないと、やっていけない」
渓谷沿いに県央を横断する米良街道。太平洋に面したがけを走る日南フェニックスロード。ともに国道だが、3年前の台風の影響などで今も片側通行を強いられる。県内の国県道改良率63.8%は全国38位。九州・沖縄8県で最低だ。
「道路維持を国に頼らざるを得ない実情を、知事もこの1年で目の当たりにしてきた」。県幹部は、知事の発言の背景をこう解説する。
2月15日、道路特定財源の暫定税率延長を求める総決起大会が宮崎市である。暫定税率廃止に伴う県の減収は約330億円。道路整備事業費の約4割に当たる。
「宮崎の道路事情を考えたらどうしても自民を選ぶ。それが賢い知事というものだ」とベテラン自民県議。総決起大会で東国原知事は、地元選出自民党国会議員とひな壇に並ぶ予定だ。
(この連載は宮崎総局・郷達也が担当しました)
=2008/01/24付 西日本新聞朝刊=
