報道機関のカメラがずらりと並んだ東京都内のホテルホール。宮崎県の東国原英夫知事が姿を見せると、フラッシュが一斉に光った。
20日、前三重県知事の北川正恭氏(63)が発起人代表を務める「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」の発足会見。居並ぶ改革派知事や大学教授以上に注目を集めたのが、東国原知事だった。
■選挙を変えた
「与党にも野党にも分かりやすいマニフェストを出していただいて、国民の選択基準にする」。会見で国民連合の狙いを問われた知事は、こうぶち上げた。
初当選からわずか1年。タレント出身、政治経験ゼロだった知事がここまで言えるのは、ローカルマニフェスト(政策目標を具体的に示した公約)を命綱にして自身の選挙を戦ったから。その活動は「お願いから約束の選挙に変えた」(北川代表)と高く評価された。
新しいタイプの「改革派知事」として「地方の代弁者」に押し上げられた東国原氏。道路整備促進を求める昨年11月の全国大会では「道路を造ってほしいというのは地方の魂の叫びだ」と絶叫。全国約3000人の自治体関係者から割れんばかりの拍手を浴びた。
■見直しで成果
「天下り財団に巨額の補助金。一体何の組織ですか」。昨年8月、宮崎県庁で開かれた「事業仕分け委員会」。委員の1人、宮崎市の専門学校講師、土屋幾子さん(62)に説明を求められた職員は、凍り付いた。
委員会は東国原マニフェストの目玉。民間24委員が約200件の事業を検証し、廃止も含め見直す。昨年11月まで計18回の会合は毎回6時間に及ぶ。
土屋さんは中小企業支援の県財団に疑問を抱き、収支計算書を調べた。2007年度に県職員OBが天下り、約4億円の補助金を受けていた。「民間の感覚と懸け離れている」。検証結果は「補助金廃止」。仕分け委は全体で約7割の事業見直しを知事に提言した。
マニフェスト成果はほかにも。宮崎への「4年間で100世帯移住」は38世帯を実現。被災者の生活費を支援する「災害時安心基金」は、当初目標の2倍、6億円の積み立てが決まった。
■誤表記と釈明
難題は「4年間で新規立地100社」実現。宮崎県の企業誘致は04年度の33社をピークに減少傾向。昨年11月の有効求人倍率も0.64倍と低迷している。
東国原知事就任1年の誘致は18社(前年同期14社)にとどまる。東京、名古屋、福岡と、自ら大都市圏の誘致セミナーに奔走するが、100社達成は厳しい。
「観光客年平均5%増」も見通し不透明。出足は好調だが、実現にはあと3年で約100万人増やさねばならない。知事は最近、マニフェストに「4年間で5%増と表記するつもりだった」と苦しい軌道修正。これには北川代表も「4年と1年とを間違えたら偽装。(マニフェストの)出来は良くない」と指摘する。
それでもマニフェストは県民との大事な約束だ。それが初めて反映する08年度当初予算案編成。ヤマ場の知事ヒアリングが21日始まった。ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州代表の神(かん)吉(き)信之さん(50)は訴える。
「マニフェスト実現には予算の裏付けが必要。厳しくチェックしないといけない」
=2008/01/23付 西日本新聞朝刊=
20日、前三重県知事の北川正恭氏(63)が発起人代表を務める「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」の発足会見。居並ぶ改革派知事や大学教授以上に注目を集めたのが、東国原知事だった。
■選挙を変えた
「与党にも野党にも分かりやすいマニフェストを出していただいて、国民の選択基準にする」。会見で国民連合の狙いを問われた知事は、こうぶち上げた。
初当選からわずか1年。タレント出身、政治経験ゼロだった知事がここまで言えるのは、ローカルマニフェスト(政策目標を具体的に示した公約)を命綱にして自身の選挙を戦ったから。その活動は「お願いから約束の選挙に変えた」(北川代表)と高く評価された。
新しいタイプの「改革派知事」として「地方の代弁者」に押し上げられた東国原氏。道路整備促進を求める昨年11月の全国大会では「道路を造ってほしいというのは地方の魂の叫びだ」と絶叫。全国約3000人の自治体関係者から割れんばかりの拍手を浴びた。
■見直しで成果
「天下り財団に巨額の補助金。一体何の組織ですか」。昨年8月、宮崎県庁で開かれた「事業仕分け委員会」。委員の1人、宮崎市の専門学校講師、土屋幾子さん(62)に説明を求められた職員は、凍り付いた。
委員会は東国原マニフェストの目玉。民間24委員が約200件の事業を検証し、廃止も含め見直す。昨年11月まで計18回の会合は毎回6時間に及ぶ。
土屋さんは中小企業支援の県財団に疑問を抱き、収支計算書を調べた。2007年度に県職員OBが天下り、約4億円の補助金を受けていた。「民間の感覚と懸け離れている」。検証結果は「補助金廃止」。仕分け委は全体で約7割の事業見直しを知事に提言した。
マニフェスト成果はほかにも。宮崎への「4年間で100世帯移住」は38世帯を実現。被災者の生活費を支援する「災害時安心基金」は、当初目標の2倍、6億円の積み立てが決まった。
■誤表記と釈明
難題は「4年間で新規立地100社」実現。宮崎県の企業誘致は04年度の33社をピークに減少傾向。昨年11月の有効求人倍率も0.64倍と低迷している。
東国原知事就任1年の誘致は18社(前年同期14社)にとどまる。東京、名古屋、福岡と、自ら大都市圏の誘致セミナーに奔走するが、100社達成は厳しい。
「観光客年平均5%増」も見通し不透明。出足は好調だが、実現にはあと3年で約100万人増やさねばならない。知事は最近、マニフェストに「4年間で5%増と表記するつもりだった」と苦しい軌道修正。これには北川代表も「4年と1年とを間違えたら偽装。(マニフェストの)出来は良くない」と指摘する。
それでもマニフェストは県民との大事な約束だ。それが初めて反映する08年度当初予算案編成。ヤマ場の知事ヒアリングが21日始まった。ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州代表の神(かん)吉(き)信之さん(50)は訴える。
「マニフェスト実現には予算の裏付けが必要。厳しくチェックしないといけない」
=2008/01/23付 西日本新聞朝刊=
