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在宅障害児・者の親負担軽減へ 地方の老健施設活用 九州初、福岡県が方針 短期入所サービス拡充

 福岡県は、重症心身障害児・者を在宅で介護する親たちの負担軽減策に絡み、短期入所(ショートステイ)サービスを拡充するため、既存の介護老人保健施設(老健)を活用する方針を明らかにした。日常的に医療的なケアが必要な障害児・者を一時的に預かる施設は特に地方で不足しており、都市部を除く地域の老健に対し、障害児・者へのケアを学んでもらう県独自の研修を実施するほか、必要な医療器具購入の補助も検討する。サービスの地域間格差を解消するため、県が広域的にこうした促進策に乗り出すのは、全国の都道府県でも異例だ。老健の活用は九州では初めて。県が昨年、九州で初めて実施した実態調査によると、県内の在宅の重症心身障害児・者は1757人。痰(たん)の吸引や管を使った栄養注入(経管栄養)など、医療的ケアが必要な子どもを預けられる施設を求める親が多いことが判明、県は、医療的ケアに対応できる「医療型短期入所」施設の拡充を進めている。

 短期入所は、一般入院の診療報酬と比べて収入が低く、既存の病院の参入が少ないことから、同じく医師や看護師が常駐する老健に着目。兵庫県での先行事例も参考に、活用を検討することにした。

 福岡県によると昨年4月現在、県内の医療型短期入所施設は18カ所しかなく、ほとんどが福岡、北九州市など都市部に集中している。老健の活用を想定するのは、こうした施設がない宗像、筑紫、甘木・朝倉、八女・筑後、直方・鞍手、京築の6地域。新年度予算に、県独自の研修費や医療器具・資機材の購入補助費を盛り込む方向で検討する。

 県幹部は「親の負担を考えれば県内全域に短期入所できる施設が必要。受け入れ先の確保を急ぎたい」と話している。

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 ●空白区ゼロを優先

 課題は「質」の確保

 【解説】福岡県が、在宅の重症心身障害児・者を一時的に受け入れる短期入所施設拡充に「専門外」の介護老人保健施設(老健)の活用を検討し始めたのは、介護する親たちの間で、身近にこうしたサービス拠点を求める声が高まっているからだ。

 実態調査をもとに、県は県内で医療的ケアが必要な在宅の障害児・者を約660人と推計。在宅の障害児・者全体では、主な介護者の約9割が親で、介護者の約半数の睡眠時間は、毎日5時間以下。自宅近くに一時預かりの施設ができるなど、「利便性が高まれば短期入所を利用したい」との回答が約6割を占めた。

 介護度が高くない高齢者向けにリハビリ訓練などを行う老健は県内に計168カ所。障害児・者を受け入れる短期入所を実施した場合、通常の高齢者の利用に比べ、収入が高くなる利点もあり、県側は老健を活用し、まず地方での「空白区ゼロ」を急ぐ構えだ。

 ただ、先行する兵庫県で、同県から障害児・者の受け入れを打診された老健関係者は「高齢者と比べ、親が求めるケアのレベルは高く、そう簡単ではない」と打ち明ける。障害者の親などでつくるNPO法人「ニコちゃんの会」(福岡市)の森山淳子代表は「施設増は歓迎するが、障害は一人一人異なる。障害者を理解した上でケアできる職員をどう育てるかが重要」と指摘する。施設を増やすと同時に、質の高い医療的ケアを提供できる職員の育成や環境づくりが求められる。

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 【ワードBOX】医療型短期入所

 障害者総合支援法に基づく福祉サービスの一つ。在宅で暮らす重症心身障害児・者らを、介護者が病気などの時、一時的に医療機関(病院、診療所、介護老人保健施設)で受け入れ、痰(たん)吸引などの医療的ケアのほか、入浴、食事などのサービスを提供する。障害者支援施設などが、基本的に介護サービスを行う「福祉型短期入所」よりも、介護報酬が高い。=2014/01/07付 西日本新聞朝刊=

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