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精神疾患 在宅ケア拠点 福岡市の一般社団法人 福岡県内13ヵ所整備へ 「社会的入院」減目指す

 長期の統合失調症の患者を医療や福祉関係者がチームを組み在宅でケアする拠点の整備に、福岡市の一般社団法人が今春から乗り出す。3年内をめどに福岡県内13カ所に事業所を設ける計画で、退院後の支援体制が未整備のために長期入院する「社会的入院」を減らすのが目的だ。厚生労働省によると、精神疾患の人の在宅ケアを全県規模で行う取り組みは全国初という。

 精神疾患の人の在宅ケアは「包括的地域生活支援」(ACT)と呼ばれ、1960年代に米国で始まった。日本では現在、全国約15カ所に事業所があるが、「医療スタッフが定期的に患者宅を訪れる必要があるため、ケアを受けられるのは事業所近くに住む人に限られる」(厚労省社会復帰相談部)という。

 福岡県内では2012年4月、医療関係者や家族会でつくる一般社団法人「Q‐ACT」(宮崎富夫代表理事)が福岡市城南区に事業所を開設。看護師、精神保健福祉士、作業療法士らが利用者宅を訪問し、連携する外部の精神科医の指示に基づき看護やリハビリを実施。緊急時に24時間体制で対応したり、就労相談に応じたりする。費用の一部に医療保険が適用される。

 現在約50人が利用。長期入院していた数人が症状が安定し、福祉事業所での軽作業が可能になったという。これを受け、同法人は4月に北九州市で県内第2号の事業所を立ち上げるほか、3年内をめどに筑後、筑豊地区を含む計11カ所に拠点を整備する計画で、スタッフ確保などを進めている。長期のひきこもりの人への生活支援も行う。

 設立者の一人で九州産業大の倉知延章教授(精神保健福祉)は「住み慣れた自宅で暮らしながら、手厚いケアを受けることで、精神疾患特有の不安障害の緩和が期待できる。緊急時に相談できる体制があることで家族の負担軽減にもつながる」と説明する。

 厚労省によると全国の精神科の入院患者は約29万人で、うち回復傾向にあるものの家族が引き取りを拒否するなどで入院が長期に及ぶ「社会的入院」は推計約7万人という。

 ●普及へ公的補助や支援を

 ▼国内のACTに詳しいNPO法人地域精神保健福祉機構(千葉県)の久永文恵さんの話

 精神疾患の患者や家族には、在宅ケアを求める要望は強いが、経費負担やスタッフ確保の問題から、高齢者や障害者に比べて進んでいないのが現状だ。福岡の取り組みが軌道に乗り、全国に向けて弾みを付けるためにも、行政による経費補助や支援制度が求められる。=2014/01/14付 西日本新聞朝刊=

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