「介護保険優先」介助に制限 ALS患者「不当」 福岡市対応に審査請求 申し立て、全国で相次ぐ

写真を見る

 全身の筋肉が衰える筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した福岡市の61歳の男性が、40歳以上のALS患者は介護保険の適用対象とする法の規定により、市から十分な介助サービスを受けられないのは不当として、行政不服審査法に基づく審査請求を福岡県に申し立てたことが分かった。介護保険の枠内の介助では不十分な障害者に対し、国は市町村の判断で障害者向け福祉サービスの上乗せを認めているが、市町村によって対応はまちまち。男性は昨年、サービス上乗せを福岡市に申請したが、却下されていた。「介護保険優先原則」への不服申し立ては九州では初めてという。

 障害者総合支援法と介護保険法は、ALSなど16の特定疾病がある障害者は40歳から、それ以外の障害者は65歳から、障害福祉サービスから介護保険サービスに移行するよう規定。介護保険の方が地域的なサービス供給の偏りが少ないことなどが理由だが、「年齢によって一律に福祉サービスを制限するのはおかしい」とする障害者の不服申し立てが全国で相次ぎ、岡山県では行政訴訟に発展している。

 福岡県に審査請求したのは、同市東区の池田和生さん。病院の検査技師だったが、2006年秋ごろから手足のまひが進み、08年に退職。12年11月、ALSと診断された。一人暮らしで、食事、排せつなど生活全般で介助が必要だ。

 ただ、認知機能に問題がない池田さんの介護認定は「要介護4」にとどまる。介護保険の枠で利用できる訪問介助は、週2回のデイサービス分を除くと月75時間程度。1割負担分の約3万3千円を払っても、1時間ずつ、1日2~3回の介助しか受けられず、毎月20万円を貯金などから取り崩してヘルパーを雇い、月40時間程度を追加している。

 池田さんのように、独居で収入が障害年金のみのALS患者は、40歳未満なら訪問介助は月最大186時間まで利用でき、負担もゼロ。池田さんは「年齢で線引きされ、出費を強いられるのはおかしい」と訴える。

 福岡市が福祉サービスの上乗せを認めているのは、原則、要介護5と判定した場合のみ。池田さんは要介護5への変更を求めるとともに、昨年3月に障害福祉サービスの上乗せを申請したが、市が却下処分としたため、県への審査請求で処分の取り消しを求めた。市障がい者在宅支援課は「介護保険の想定を超える障害とは判断できなかった」と説明している。

 =2014/01/22付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]