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難病患者の詩響いた演奏会

 福岡県篠栗町の三野原病院は昨年12月19日、福岡県久留米市を拠点に各地で活躍するシンガー・ソングライターの野田かつひこさん(48)に出演を依頼して院内でクリスマスコンサートを開いた。

 会場には入院患者や同じ敷地内にある老人保健施設の入所者など約130人が集まった。その中で格別の思いを抱いたのが、入院患者の一人である吉河日出子さん(74)だった。難病の重症筋無力症を患い、ほぼ寝たきりの日々。それでもこの日は、ギターを弾きながら歌う野田さんと並ぶもう一人の主役だった。

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 吉河さんが発症したのは40歳ぐらいのころ。当時は夫と子ども2人の4人家族で幸せに暮らしていた。

 ストローで飲み物が吸えなくなったり、階段が上れなくなったりして入院生活へ。家庭での役割が果たせず、絶望を感じる日々だった。ベッドの上でもできる詩作に打ち込むことで気持ちをつないできた。

 そんな吉河さんが別の病院に入院していた2006年、野田さんのファンになり、医療スタッフの仲介で交流が始まった。吉河さんは自分の詩を使って歌を作ってくれるよう望み、野田さんも吉河さんの詩に「生きたいという思いが響いてくる」と感動。以来、吉河さん作詞、野田さん作曲の歌が次々と生まれ、これまでに13作が完成している。

 三野原病院のコンサートで、野田さんは10曲余り届けた。うち吉河さん作詞は「ふしぎ」「子どもたちよごめんね」「皆さんの愛にありがとう」の3曲。野田さんは、吉河さんとの出会いや、それを機に07年から「命のコンサート」を始めた経緯などを語り、持ち前の温かな声で吉河さんの詩を歌った。そしてコンサートの締めくくりに選んだのが「皆さんの愛にありがとう」だった。

 私がたおれたあの時から

 心の奥にも

 不安がいっぱい

 生きていたい

 気持ちを抱いて

 命をかけた

 今がある

 やさしいはげまし

 私の心にありがとう

 皆さんの愛は

 この胸に生きています

 リクライニング式の車椅子に座って聴いた吉河さんは胸がいっぱいになり、涙を流した。演奏終了後、野田さんに花束を贈る役を病院側から任され、しっかり果たした。

 重症筋無力症は根本的な治療法がなく、三野原病院が医療技術で吉河さんを元気にしてあげることは難しい。しかし、野田さんのコンサートで最高に元気づけた。=2014/02/14付 西日本新聞朝刊=

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