西日本新聞電子版 1周年記念プレゼント

飲み忘れ持参、処方量調整 「節薬袋」医療費削る 福岡県内の薬剤師会 薬剤費2割減も

 飲み忘れたりして家庭で余った「残薬」を専用袋に入れて持参してもらい、使用期限が切れていない分だけ次の処方量を減らす「節薬バッグ運動」が、福岡、鹿児島両県の調剤薬局で進められている。九州大の調査で、残薬の再利用により薬剤費が約2割削減されたことも判明した。膨らむ一方の国の医療費抑制にもつながる取り組みとして、各地の医療関係者から注目を集めている。

 日本薬剤師会の推計では、患者が飲み忘れた薬剤費は年間約470億円。2012年度の診療報酬改定では、残薬確認が薬剤師の業務に盛り込まれたが、徹底されていないのが実情だ。

 福岡市薬剤師会は12年6月、「専用の袋があれば残薬を確認しやすく、患者も持参しやすい」と「節薬バッグ」を製作。主に慢性疾患などで定期的に薬局を訪れる患者に無料で配布した。次に受診して薬局に来る際、残薬をバッグに入れて持参してもらうと、量や使用期限のチェックをした上で、その場で医師に電話連絡して同意をもらい、残薬分だけ処方日数を減らして処方することにした。

 13年3月には北九州市小倉北、小倉南両区を担当する小倉薬剤師会も約5千袋を製作してスタート。鹿児島県薬剤師会も同4月から「おくすり整理そうだんバッグ」と名付けて約400の薬局で配布を始めた。

 九州大の島添隆雄准教授(臨床薬学)が12年6~8月、福岡市内の薬局で残薬調整をした患者252人のデータを分析したところ、約84万円分の残薬のうち約70万円分が再利用されたことが判明。さらに13年2~3月に再利用された残薬は144万円分で、薬剤費が20%削減できたことが分かった。

 処方箋1枚当たりの削減額は平均2423円で、患者の自己負担額も1~3割の負担割合に応じて数百円減った。

 12年度の国民医療費は約38兆4千億円で、うち17%が薬剤費を含む薬局調剤費。10年間で倍増しており、抑制が喫緊の課題になっている。

 こうした事情を背景に福岡市薬剤師会には、各地の薬剤師会や病院から問い合わせや視察の申し込みが相次いでいるという。

 福岡市薬剤師会の木原太郎副会長は「節薬バッグ運動により、飲み忘れが多い人の認知症が判明したり、複数の医療機関にかかる人が胃薬を何種類も処方されていたことが分かって適正処方につながったりと、相乗効果も生まれた。患者さんにとっても、きちんと薬を飲もうという意識付けになっている」と話している。=2014/02/12付 西日本新聞朝刊=

→電子版1周年記念!1万円分賞品券やQUOカードが当たる!!

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]