ストーカー対策 感情制御へ心理療法 専門家 「刑罰だけより効果」

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 全国で悲惨な事件が相次ぐストーカーの対策を巡り、警察が容疑者・加害者の「病理」に踏み込んで対処する取り組みが始まる。ストーカー問題に携わる専門家は「刑罰を科すだけでは再発防止効果は薄く、医療面のアプローチは有効だ」と期待する。

 警察庁によると、昨年のストーカー相談件数2万1968件のうち、事件化されたのは2415件。内訳は、殺人未遂11件▽傷害197件▽暴行169件▽脅迫362件▽ストーカー規制法違反677件-だった。ストーカーの8~9割は警察の注意や警告で止まるといわれているが、捜査により、加害行為がかえって深刻化する例もある。2011年に長崎県西海市で起きたストーカー殺人事件も、一審、二審で死刑判決を受けた男(上告中)は警察からの警告後、行為をエスカレートさせ凶行に至った。

 「好意が報われないことで『自分は被害者』という倒錯した意識を抱く。相手に拒絶されるほど、恨みを募らせていく」。100人を超えるストーカーの治療に携わってきた「性障害専門医療センター」の福井裕輝精神科医(東京)は、特徴をこう分析。被害者意識が強いため通常の指導では効果が薄く、怒りをコントロールする心理療法を施す必要があるという。

 英国などでは、警察や司法と医療機関の連携が進んでおり、裁判所の命令などで公的に加害者のリスク評価が行われ、認知行動療法などが施されている。

 福井医師は昨年10月、治療拠点を福岡市にも設置。県警と連携する17機関の一つになっている。今後、警察が医療機関に橋渡しする対象を、強姦(ごうかん)、強制わいせつなどの性犯罪にも広げていくべきだと提言する。「性犯罪者の中には『自分の意思では犯行を止められない』と考え、やめるきっかけを求めている者が多い。逮捕時などにアプローチできれば効果は高い」と話す。


=2016/04/13付 西日本新聞朝刊=

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