ADHDの1日「見える化」術 福岡の臨床心理士 大人向け対処本 時間割スケジュール帳を活用

スケジュール帳の記入例。赤枠が「やるべきこと」、青枠が「ごほうび」。色分けしてバランス良く配置するのが重要という
スケジュール帳の記入例。赤枠が「やるべきこと」、青枠が「ごほうび」。色分けしてバランス良く配置するのが重要という
写真を見る
ワークブックを手にする中島美鈴さん
ワークブックを手にする中島美鈴さん
写真を見る

 「約束の時間を忘れる」「部屋を片付けられない」-。発達障害の一つ、注意欠陥多動性障害(ADHD)やその傾向があって悩んでいる人を対象にした「ADHDタイプの大人のための時間管理ワークブック」が出版された。福岡市の臨床心理士中島美鈴さん(39)が東京の研究者と執筆した。時間のやりくりと生活面の工夫で解決できることも多いことから、スケジュール帳を活用して一日の流れを「見える化」する対処法を紹介している。

 ADHDは、脳機能の働きの偏りが原因とされ(1)集中力が続かない(不注意)(2)落ち着きがない(多動性)(3)思い付いたらすぐ行動してしまう(衝動性)-などの特徴がある。衝動性を抑える投薬治療のほか、自分の特性を知って行動改善につなげる認知行動療法が主流となっている。

 中島さんは、国立病院機構肥前精神医療センター(佐賀県吉野ケ里町)を経て現在、福岡県職員相談室や福岡刑務所などで治療に携わる。その中で、ADHDは時間の“見積もり”が苦手で、計画通り行動することが難しい人が多いと実感。社会人になって、遅刻などさまざまな問題が顕在化して診断につながる人も少なくなく、放置すると、うつ病など精神疾患を併発するケースもあるという。

 ワークブックは、東京大大学院助教時代の2009年に研究会で知り合った臨床心理士稲田尚子さん(37)=佐賀県武雄市出身=と手掛けた。1時間刻みに予定を書き込めるバーチカルタイプのスケジュール帳を使い、朝、日中、夕方と時間帯ごとの書き方を紹介。家事や仕事などの場面でよく起こるつまずきの要因を解説し、これらを乗り切るこつも説明している。

 さらに「友達とお茶を楽しむ」などの“ごほうび”を1日に1回は設定することの必要性も説いており、達成感を得てもらおうと行動のチェック欄も設けた。

 中島さんは「ADHDの人はいつも時間に追われがち。時間をコントロールするすべを身に付け、充実した毎日を送れるようになってほしい」と話している。

 ◇ワークブックは星和書店刊、1944円。

 ●「対処本」活用講座、参加者募集 九大病院で今秋

 中島美鈴さんは今年10月から九州大病院(福岡市東区)で開くADHDの集団認知行動療法に関する調査研究事業の参加者を募集している。ワークブックを使った講座を10回受け、家事や仕事を時間内でこなす力を身に付ける。

 文部科学省の科学研究費補助金を受けた事業。「ADHDが時間に追われる理由」「気持ちのよい朝を迎えよう」「後回し癖の克服」などのテーマで、10月と11月の平日午前中に計8回開催し、来年1月と5月に予定する各1回の講座で効果を確認する。

 家事や仕事が予定通りこなせないなど日常生活に困難を感じていて、全10回に参加できる20~65歳が対象。ADHDの診断の有無は問わないが、精神科に通院を続けられることが条件で、主治医と同居家族の協力も必要になる。

 定員48人、無料。ただし半数は講座の内容を検証するために必要なグループに振り分けられ、講座は受講できない。面接などで審査する。

 参加申し込みは専用ページ=https://jp.surveymonkey.com/r/DVHDQT8。


=2017/06/19付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]