警察官、消防士、自衛隊員… 大規模災害現場での援助者の心構えは? 熱中症や「心の健康」対策 重要

九州豪雨の被災地で流木やがれきを取り除きながら、安否不明者を捜索する消防団員たち=7月8日午後、福岡県朝倉市杷木林田
九州豪雨の被災地で流木やがれきを取り除きながら、安否不明者を捜索する消防団員たち=7月8日午後、福岡県朝倉市杷木林田
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産業医科大であった「大規模災害における救急救命に関する講習会」
産業医科大であった「大規模災害における救急救命に関する講習会」
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 ●作業分担や十分な休養も 産業医科大で講習会

 熊本地震や九州豪雨など、九州でも大規模な災害が相次いでいる。こうした中、災害現場で救助や捜索に携わる警察官、消防士、自衛隊員らを対象にした「大規模災害における救急救命に関する講習会」が16~18日、北九州市八幡西区の産業医科大で開かれた。復旧作業が続く九州豪雨の被災地でも役立つ「熱中症対策」と「メンタルヘルスケア」を取材した。

 講習会は東日本大震災の教訓を伝えようと2014年から、産業医科大が毎年開催。自然災害のほか、核や生物兵器、化学物質による災害などについて、初期対応を行う警察官らに医学的な基礎知識や知っておくべき対応を教えている。今年は約40人が参加した。

 熱中症に詳しい堀江正知教授は、症状のメカニズムを解説した。運動強度が強く、発汗量が多いほど、汗と一緒に体内から失われる塩分量は大きくなる。予防のためには、水分だけを摂取するのではなく、経口補水液やスポーツ飲料など電解質を含む飲み物を取ることが重要だと強調した。

 また、汗をかくと体表面の温度は下がるが、体内の温度「核心温」は上昇し続け、運動をやめたり、作業服を脱いだりしてもすぐには下がらず、危険な状態につながると指摘。労働災害の死亡例を挙げ「症状を訴えず、突然亡くなるケースも多い。『まだ大丈夫』と、ぎりぎりまで我慢してはいけない」と呼び掛けた。

 危険を減らす方法として、日よけや空調、送風機付きの服などを紹介し「災害現場では作業の環境や方法は変えにくいのが実情。分担や頻繁な休憩で作業時間を短縮してほしい」と話した。

 「被災者の心の健康は注目されているが、援助者についてはまだ重視されていない。援助者の心を健康に保つことが、被災者支援にも役立つと知ってほしい」。精神保健学の廣尚典教授は、災害時における援助者のメンタルヘルスケアの重要性を語った。

 被災者は、家族や自宅を失った悲しみ、生き残った罪悪感などに悩まされる。一方、支援する人たちも使命感と現実の間で葛藤したり、被災者の心的外傷に巻き込まれたりして、無力感や自責、感情のまひが起こり、不眠や呼吸困難といった身体症状が起こりうるという。

 廣教授は、援助者の心身の不調を防ぐには、十分な休養や睡眠の確保、自らにもケアが欠かせないという知識が必要だとして、被災者に感情移入しすぎないよう業務の枠組みを見失わず、生活ペースを維持することを呼び掛けた。

 参加者の一人で、九州豪雨の被災地に派遣された陸上自衛隊小倉駐屯地(北九州市小倉南区)の藤井裕子3曹(32)は「救助したいという気持ちが強くて焦りやいら立ちが増す実感はある。救援する側にも心身の変化が起こりうると知ることは予防につながる」と話していた。


=2017/08/21付 西日本新聞朝刊=

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