【長崎】中村氏笑顔なき万歳 得票6万票減低い投票率 「重責に身が引き締まる」

知事選で3選を果たし、支援者と万歳をする中村法道氏
知事選で3選を果たし、支援者と万歳をする中村法道氏
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 4日投開票された知事選は、無所属現職の中村法道氏(67)=自民、公明推薦、民進支持=が、無所属新人で共産党県委員会書記長の原口敏彦氏(56)=共産推薦=を大差で退けた。投票率は過去最低の36・03%。中村氏は出馬表明の遅れもあり、支持の訴えは選挙カーでの遊説や支援組織が動員をかけた集会に特化せざるを得ず、陣営が当初目指した「幅広い県民への浸透」という点で課題を残した。原口氏は前回より得票を伸ばした。魅力のある、暮らしやすい長崎の実現には中村氏が繰り返した「県民の参画、対話」が欠かせない。

 「皆さんの期待、これからの県政を担う重責に身の引き締まる思いです」。知事選で3選を決めた中村法道氏は4日夜、長崎市の事務所で決意を新たにし、言葉に力を込めた。

 県選出の国会議員や県議、支持者であふれる長崎市樺島町の事務所では、投票箱が閉じられた午後8時、テレビ画面に当確を伝えるテロップが流れた。すぐに姿を現す中村氏。万歳の声と拍手に包まれ最初こそ笑顔を浮かべたが、表情は終始硬かった。

 その場で行われた記者団とのインタビュー。中村氏は17日間の選挙期間中、離島や半島など県内隅々まで回ったことを振り返り「集落の過疎化、高齢化が一段と進んでいることが気になった」。当選の美酒に酔うこともなく、次の施策に思いを巡らせた。

 表情が硬いもう一つの理由は低投票率。期間中も「地域によって温度差が激しい」と漏らしていたが、一部を除いて軒並み下がり、得票も減らした。陣営幹部は「この間、地域で得た感覚を今後の4年に生かしてほしい。そのための選挙戦だったと思う」と語った。

■「人口流出にブレーキ」一問一答

 知事選で3選を果たした中村法道氏は5日登庁し、記者会見で選挙戦を総括、3期目の抱負を語った。主なやりとりは次の通り。

 -投票率が過去最低を更新し、36・03%だった。

 投票率はさまざまな要因で動くが、過去最低となり極めて残念だ。県政をより身近に感じてもらえるよう、説明責任を果たしたい。もう少し工夫して積極的な情報提供に取り組みたい。

 -前回と同じ戦いの構図で得票が約6万票減った。

 31万1千余の信任を頂いた。十分な信任か不十分か、判断は難しい。しっかり受け止め、具体的な成果を出すことが最大の責務。全力を尽くす覚悟がある。

 -原口敏彦氏は逆に約1万票増やしている。批判票の増加と受け止めるか。

 (原口氏が)政策転換を主張していた九州新幹線西九州(長崎)ルートや国営諫早湾干拓、石木ダムなどの大型プロジェクトに反対し、事業が不要と考えている有権者の意思が得票として表れた可能性はある。

 -県が国に要望している九州新幹線長崎ルートのフル規格整備にどう向き合うか。

 佐賀県はフル規格は難しいとの考えだが、現状では事業費や地元負担も分からず説得できる情報を入手できていない。フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)、ミニ新幹線を含む三つの選択肢の課題を整理し、佐賀と協議、調整を進めたい。整備効果はフル規格が最も高い。

 -3期目の抱負は。

 雇用確保に努め、人口流出にブレーキをかける。出生率の低下要因には未婚率の高さもある。結婚支援策をもっと有効な形で練り上げたい。

■落選の原口氏「力不足だった」

 新人の原口敏彦氏は、大型事業中心の県政から子育て・福祉優先への政策転換を訴えたが及ばなかった。4日夜、長崎市の事務所に落選の報が伝わると、支援者から落胆の声が漏れた。

 前回に続き、中村氏に敗れた原口氏は「力不足だった」と支援者に謝罪。取材に対して「主張した政策はある程度、有権者に届いた。県政を変えると訴え、悔いのない戦いはできた」と振り返った。

 今後の県政運営に関しては「(大型公共事業などを巡り)県民の声を排除するのではなく、県民の声をよく聞いてほしい」と語った。

■連合長崎「政策実現を」 共産「批判の受け皿に」

 中村法道氏が勝利した知事選について、各政党関係者らはそれぞれ前向きに受け止めた。

 投開票日の4日、長崎市の事務所に駆け付けた自民党県連の加藤寛治会長(衆院長崎2区)は、推薦政党として「これからの県政発展に全力で尽くされることを期待する」とあいさつ。同じく推薦した公明党県本部の麻生隆代表も「ともに、暮らして良かったと思える長崎県政にしていきたい」とエールを送った。

 推薦団体の連合長崎の宮崎辰弥会長は、中村氏の2期8年の実績に着目。「8年間の延長上で、(3期目は)一つ一つ政策を実現してほしい。連合も労働者福祉の観点から、これまで以上に踏み込んだ政策提言をしたい」と語った。

 ただ今回の選挙は、こうした推薦政党や団体が持つ組織以外への浸透を欠いたことで低投票率になった側面もある、とされる。自民県連の坂本智徳幹事長は「自民としては精いっぱい努力した。低投票率は全国的な傾向でもある」と受け止めた。

 一方、投票率が下がる中、前回よりも約1万票伸ばした原口敏彦氏を推薦した共産党県委員会の山下満昭委員長は「福祉や生活重視を訴えに、市民が理解を示してくれた。現県政への批判の受け皿になった」と語った。

■知事選最終得票

当 311,893 中村 法道 無現
   94,442 原口 敏彦 無新

=2018/02/06付 西日本新聞朝刊=

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