復興へ 被災5首長に聞く(1)蒲島郁夫・熊本県知事 対立よりスピード重視

西日本新聞のインタビューに応じる熊本県の蒲島郁夫知事=13日
西日本新聞のインタビューに応じる熊本県の蒲島郁夫知事=13日
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 最大震度7の激震が2度襲った熊本地震は4月の発生から半年が過ぎた。災害関連死などを含む犠牲者は116人に上り、損壊家屋は17万棟を超す。復旧・復興を急ぐ被災自治体の5首長に、現状や課題を聞く。

   ◇   ◇

 -半年を振り返って。

 「発生当初の人命救助から、水と食料の確保、避難所の生活環境改善と、日々変わる状況への対応を迫られた。4303戸の仮設住宅整備は、10月末に97%が完成予定。避難所も10月末には全て閉鎖される。住まい確保は想定通りのスピードで進んでいる」

 -復興財源の確保では当初、東日本大震災のように自治体の財政負担をゼロにする特別措置法制定を求めていたが、最近はトーンダウンしている。

 「特措法が無くても、復旧に必要な予算措置は実現しており、今は争点化する時期ではない。国と県が対立し膠着(こうちゃく)状態になると復興が進まなくなる。ただ、旗を降ろしたわけではない。復興にかかる長い年月の間に、財政への不安が出てきたときには求めていく」

 -経済の復興は。

 「最も効いたのは、中小企業の施設や設備復旧を75%支援する『グループ補助金』だ。やめようと思っていた事業者が一挙に元気になった」

 -家屋被災判定の2次調査は、熊本市と他市町村で調査項目が異なり、結果に差があるのではないかという不公平感もある。

 「被災判定は簡素化や公平性が必要で、制度的な問題がある。一部損壊にも公的支援が必要だ。自動車損害賠償責任保険のように、地震保険の加入義務化なども必要ではないか」

 -復興の前提となる家屋の公費解体は、推計約2万8千棟に対し9月末で14・6%しか終わっていない。

 「2年間で終える計画に対しては順調に進んでいる。ただ、もう少し早められないか国や市町村、業界と意思疎通を図りたい」

 -被災者の恒久的な住まい確保をどう支援するか。

 「仮設住宅は敷地を広く取り、集会所を造ったり、ペット飼育を可能にしたりした。災害公営住宅も『熊本モデル』をつくる。自宅を再建する人には、県内の住宅メーカーと連携して県産木材を使い、耐震性が高く1千万円以内の『熊本型復興住宅』のモデルをつくる。耐震診断や耐震補強工事の補助も検討する」

 <メモ>熊本県は熊本地震の復旧・復興事業費総額を2兆6116億円と試算しており、うち県と市町村の負担は現時点で9406億円の見込み。東日本大震災では、特別措置法や復興増税による財源の確保で、自治体負担「実質ゼロ」の枠組みをつくった。

=2016/10/20付 西日本新聞朝刊=

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