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失った胸、3Dで再現 福岡市のメーカー製造 低予算、手術不要 「がん越え、一歩を」

本田幸恵社長
本田幸恵社長
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色や形が自然な人工乳房を装着した胸(ナチュラルブレスト社のパンフレットより)
色や形が自然な人工乳房を装着した胸(ナチュラルブレスト社のパンフレットより)
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残った方の胸の写真を基に、3次元画像化した両胸
残った方の胸の写真を基に、3次元画像化した両胸
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 乳がんの手術で乳房を失った女性のために、皮膚に装着するタイプの人工乳房を製造販売する「ナチュラルブレスト」(福岡市)が、オーダーメード品の製造に3D技術を取り入れている。残った胸の画像を基に、精密な3Dプリンターで再現する全国的にも珍しい製法。かつての胸に近い乳房を表現できるという。医師も「見た目も感触も本物のよう。価格的にも患者に薦めやすい」と評価する。

 乳がんは女性の「11人に1人がなる」といわれる。乳房を摘出した場合、再建手術も選択肢の一つだが、抵抗感から下着に入れるパットや付けるタイプの人工乳房を選ぶ人も少なくない。

 同社の人工乳房は、医療用接着剤なしで肌に付けられる。約100カ所の角度から撮影した胸を基に3Dプリンターで型を作製。型に合わせて独自のシリコーンを幾層にも重ね、注文者ごとに色付けを施す。

 オーダー品は注文者の胸を石こうで型取りする社もあり価格もさまざま。日本乳がん学会乳腺認定医で九州大学病院臨床・腫瘍外科(第一外科)の山田舞医師によると「一般的に45万円程度で高くて90万円」。同社の場合、型を調整する手間が省け、34万8千円(税別)に抑えられたという。

 現在、乳房再建手術には公的医療保険の適用もあるが、自分の背中や腹部の筋肉などを移植する場合はその部位に15~40センチの傷が残るほか、人工物を入れる再建でも十数年に1回、手術をし直す必要があり、踏み出せない患者もいる。

 山田医師は「どんな形でも胸があることで、患者さんは自尊心を保つことができる。いろいろな選択肢を知ってもらい、手術を受けたくない人には人工乳房を薦めている」と言う。同社の本田幸恵社長も「楽しい人生を送るきっかけに」と話す。昨年2月に販売開始した同社の3D製品は20~80代の約40人が購入。「孫と温泉に行ける」「ダンスの発表会に出たい」と新たな一歩を踏み出しているという。問い合わせはフリーダイヤル=(0120)661167。

=2017/01/11付 西日本新聞夕刊=

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