有明海アゲマキ、復活の兆し 放流奏功 生息数10倍に 佐賀県水産センター

佐賀県鹿島市の干潟に生息していたアゲマキ=2月27日、佐賀県小城市の有明水産振興センター
佐賀県鹿島市の干潟に生息していたアゲマキ=2月27日、佐賀県小城市の有明水産振興センター
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 絶滅が危ぶまれていた有明海特産の二枚貝アゲマキが、復活の兆しを見せている。佐賀県有明水産振興センター(同県小城市)が大量放流した稚貝が、同県鹿島市沖の干潟に根付いて産卵し、新たに生まれた貝が再び卵を産む生産サイクルが回り始めているためだ。2016年の生息数調査では例年の10倍を超えるほど急増しており、関係者は採貝の復活に向け資源保護に乗り出している。

 センターは稚貝の大量放流を始めた09年から毎年7~9月、佐賀県沖合6カ所での生息数を調査。例年4~84個にとどまっていたが、15年は226個に増え、16年は千個を超えた。稚貝はいずれも放流したアゲマキの“子孫”とみられる。

 アゲマキの同県内漁獲量は1988年に776トンだったが、その後は広域で原因不明の大量死が発生。自然界での生産サイクルが途絶え、92~93年は1トン、94年以降はゼロに。県は絶滅危惧2類種(絶滅の危機が増大している種)に指定している。

 センターは資源回復のため、96年度から人工種苗の開発や繁殖適地の研究を進め、09年度からは鹿島市沖などで毎冬、100万個の稚貝を放流。15年度以降は200万個に増やした。

 センターの荒巻裕副所長は「アゲマキが巣を掘ると他の生物も生息しやすい干潟環境に変わっていく。将来的には生息域を広げて漁獲量を回復させ、食卓に復活させたい」と話す。

 アゲマキ復活を確実にするため、県有明海区漁業調整委員会は16年3月から一般の人も対象に採貝を全面禁止し、違反者には罰則が適用される。


▼アゲマキ 有明海と八代海に分布する大型の二枚貝。泥質の干潟を好み、海底に垂直に穴を掘って生息する。9~10月に産卵し、1年で殻長4~5センチの親貝に成長する。有明海の特産物として親しまれてきた。漁獲量が激減した現在は、韓国などの外国産が流通している。

=2017/03/20付 西日本新聞朝刊=

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