農家悲鳴、生計に打撃 柿、ネギ、泥まみれ 「三連水車」にも流木

流木や土砂が押し寄せた三連水車。周辺の水田にも影響が広がりそうだ=10日午後4時5分、福岡県朝倉市
流木や土砂が押し寄せた三連水車。周辺の水田にも影響が広がりそうだ=10日午後4時5分、福岡県朝倉市
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 全域に農地が広がる福岡県朝倉市では豪雨による農業被害が深刻化している。特産の柿畑は広範囲で押し流され、博多万能ネギのビニールハウスも泥にまみれた。農業用水路は機能を失い、国史跡「三連水車」も動きを止めた。「山も、田畑も、死にかけとる」。農業者から悲鳴が上がっている。

※動画は東峰テレビ岸本晃氏提供。7月10日撮影。

 ブランド柿「富有柿」の産地として名をはせる朝倉市杷木志波。昨年は収穫前に実が落ちる炭疽(たんそ)病の流行で大不作だっただけに、住民は「今年こそは」と手入れに精を出してきた。その柿畑は、土石流や流木に削り取られるように流された。被害が比較的軽くても、柿畑と集落とを結ぶ道路が土砂で閉ざされている。

 雨の前後は消毒し、炭疽病や害虫を予防する必要がある。濁流に家を流されて避難生活を送る柿農家日野博さん(53)は「畑に行かれん。みんな今年はもう駄目だと諦めかけている」。生活を支える収入の柱も失おうとしている。

 同市杷木古賀で富有柿を主力に2・5ヘクタールの柿農園を営む古川幸弘さん(61)も自宅や農園の一部、さらに農園までの道が土砂で埋まった。5日夕に妻と息子の妻、2歳と10カ月の孫2人を連れて自宅から避難し、親類宅に身を寄せた。「命は何とか助かったが、自宅にはもう住めないだろう」。消毒に必要な大型機械も農園に入れることができず、このままでは出荷もできない。「これからどうすれば良いのか。柿の営農自体を断念しなければならないかもしれない」

 同市山田では特産の博多万能ネギのビニールハウスが泥にのまれ、一部は収穫できない状態。JA筑前あさくらによると、特産のナシも出荷が始まる時期で、この被害も心配されている。担当者は「地域全体として大きな被害は免れない」と話した。

 朝倉市は水田地帯でもあり、水稲の耕地面積は3710ヘクタールに上る。田んぼに水を供給するため、6月に動きだした同市のシンボル的存在の「三連水車」がある堀川用水路にも流木が流れ込み、水車はがれきに覆われて無残な姿をさらす。管理する山田堰(ぜき)土地改良区の徳永哲也理事長は「水を供給できなければ、生きている田んぼも死んでしまう」。水車本体の損傷は軽く、がれきを除去すれば稼働できそうで、徳永理事長は「復活させ、市民を元気づけたい」と語った。

=2017/07/11付 西日本新聞朝刊=

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