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冤罪「再審で調べ直して」 菊池事件国賠提訴 元患者ら、名誉回復求め

提訴後に記者会見する国立ハンセン病療養所菊池恵楓園の志村康さん(左)とハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会の竪山勲事務局長=29日午後、熊本市
提訴後に記者会見する国立ハンセン病療養所菊池恵楓園の志村康さん(左)とハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会の竪山勲事務局長=29日午後、熊本市
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 熊本県で起きた「菊池事件」で殺人罪に問われたハンセン病患者とされた男性は、最高裁自ら違法性を認めた「特別法廷」で死刑を言い渡された。「差別にまみれた特別法廷ではなく、再審の場で徹底的に調べ直すべきだ。再審不請求は法治国家として許されない」。検察が男性の再審請求をしないのは不当として、熊本地裁に国家賠償請求訴訟を起こした原告たちは29日、会見でそう訴えた。

 原告の元患者竪山勲さん(68)=鹿児島県鹿屋市=は1962年、同市の国立療養所星塚敬愛園に13歳で入所した。約10日後、菊池事件で死刑判決を受けた男性の刑が執行されたことを園内放送で聞いた。入所手続きで「死後の遺体解剖を承諾します」との書面に署名したばかりだった。恐怖に震えた経験を振り返り「以来55年間、(菊池事件を)心の中に引きずってきた。放置されたままでは死んでも死にきれない」と語った。

 熊本県合志市の菊池恵楓園入所者志村康さん(84)は、男性と交流があった。菊池医療刑務支所で面会直後、死刑が執行されたと知り衝撃を受けた。「男性は無罪になると信じて踏みにじられた。思いを引き継ぎ、裁判でもの申したい」

 弁護団によると、男性の遺族は今も根強いハンセン病に対する差別や偏見を恐れ、再審請求に踏み切れないという。徳田靖之弁護士は「全くの冤罪(えんざい)だ。憲法違反の特別法廷を司法が許したことで差別が社会に根付いた。司法が責任を果たすべきだ」と強調した。

【ワードBOX】菊池事件

 1951年8月、熊本県の旧菊池郡の元村職員男性宅にダイナマイトが投げ込まれた殺人未遂事件と、52年7月に元職員が殺害された事件の総称。警察は「ハンセン病患者だと県に通報した元職員を逆恨みした」として患者とされた当時29歳の男性を逮捕。男性は菊池恵楓園内に勾留され、裁判も園内などの特別法廷で行われた。最高裁で死刑判決が確定し、3度の再審請求も退けられた。男性は40歳だった62年9月に死刑執行された。

=2017/08/30付 西日本新聞朝刊=

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